Research Abstract |
本年度明らかにしたことは以下の通りである。 1.細胞株の決定:これまでHeLaを用いて細胞分裂時におけるチロシンリン酸化の局在を解析してきた。タンパク貿同定のためには,細胞周期を同調する必要がある。HeLaの亜株であるHeLaS3は浮遊状態で培養が可能であるため細胞同調しやすい。即ち,ノコダゾール同調後,培養ディッシュから剥がし,細胞洗浄後に浮遊状態のまま細胞周期を進行させ,適度に進行した後に,細胞を集めることができる。今回,HeLaとHeLaS3を比較した結果,細胞分裂期の終期において,同様なリン酸化パターンを検出したので,HeLaS3を用いる事が可能であることがわかった。 2.細胞可溶化条件の決定:タンパク質同定のための細胞可溶化画分を調製するための,可溶化方法の検討を行った。0.1%サポニンを用いて細胞を可溶化してから細胞を固定することで,特徴的なチロシンリン酸化を検出した。したがって,この条件では,目的のタンパク質は細胞から可溶化されない。また,1%TritonX-100を用いた場合には,このチロシンリン酸化が失われていた。これらの結果から,細胞を予め0.1%サポニンを用いて可溶化し,次いで1%TritonX-100により可溶化することで,目的のタンパク質が1%TritonX-100可溶化画分に可溶化されてくることがわかった。 3.細胞同調の条件検討:HeLaS3細胞をチミジンを用いてS期に停止させ,その後,ノコダゾールにより細胞分裂期前中期に同調した。この細胞を薬剤を含まない培地に戻して,細胞周期を開始させ,その後の進行を顕微鏡を用いて解析した。この方法により,細胞分裂の進行を同調できることがわかった。この方法により細胞分裂の進行を同調し,細胞可溶化を行う予定。
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