2007 Fiscal Year Annual Research Report
先天性免疫および獲得免疫に関わる抑制性レセプターKLRG1の機能の解明
Project/Area Number |
19590059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 直樹 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (40239108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和生 東海大学, 医学部・, 准教授 (50236569)
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Keywords | NK細胞 / レセプター / 肺炎症 / リポ多糖 / カドヘリン / 樹状細胞 |
Research Abstract |
マウス肺に常在するNK細胞の性状を明らかにした。B6マウスでは肺NK細胞の70%がKLRG1を発現するほか、NK細胞成熟マーカーを発現し、肺NK細胞が分化の進んだNK細胞集団であることが明らかになった。KLRG1の生体内における機能を明らかにする目的で、抗KLRG1抗体F(ab')_2断片を投与し、KLRG1とそのリガンドであるカドヘリンとの相互作用を遮断したマウスにおいて、細菌由来のリポ多糖によって誘導される急性肺炎症の増強が認められた。この結果からKLRG1によって制御されているNK細胞を介した炎症増強回路の存在が初めて明らかになった。また、ヒトKLRG1が、ヒトE-,N-,R-カドヘリンと結合することを明らかにした。さらに、KLRG1によるE-カドヘリンの認識により、ヒトNK細胞の機能が抑制されることを示した。以上の成果は、KLRG1が体内で免疫反応を抑制的に制御していることを示唆しており、KLRG1を標的とした免疫系制御の可能性とそのヒトへの応用を考える上でたいへん重要である。また、マウスNK遺伝子複合体にコードされる抑制性レセプターDCIR2について、モノクローナル抗体を作製し、DCIR2がMac-1を発現する樹状細胞集団に選択的に発現されていることを明らかにした。この成果は、樹状細胞における抑制性レセプターの機能やそのリガンドの解明のための基盤的なツールを提供し、あまり研究が進められていない樹状細胞機能の抑制性レセプターによる制御の研究への道を拓いた。
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Research Products
(12 results)