2008 Fiscal Year Annual Research Report
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19590060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 麻紀 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 客員研究員 (00312281)
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Keywords | 認知症 / 抑制性神経 / BDNF / 神経栄養因子 / 苔状線維 / 統合失調症 / エストロジェン / GAD |
Research Abstract |
現在認知症の原因としてはβアミロイドやtauの沈着が注目されているが、本研究代表者は、抑制性神経細胞の失調が認知症の初期の誘引になる可能性について、既にいくつかの論文で議論してきた(Neuroreport.2006 Dec18;17(18):1847-,Cereb Cortex.2005 Mar;15(3):291-)。また、神経栄養因子BDNF.や脳で神経細胞によって産生されるエストロジェンがともに、認知症発症と濃度の逆相関関係があり、かつ、抑制性神経伝達賦活(GABA産生酵素GAD65増加)に働くことから、これらの分子をツールとして解析する方向性を展開してきた.(J Neurosci Res.2006 Dec;84(8):1771-,NeurobiolLearn Mem.2007 Nov;88(4):409-)。今年度は、8DNF機能解析の新しい手法を確立し、今までしられていなかった役割を解明した。BDNFには他の神経栄養因子Family分子との機能的Redundancyが示唆されてきたので、薬物で全ての神経栄養因子シグナルを切り、薬物が少量のときは多量発現BDNFが機能するであろうことを利用して、役割を解析した。その結果、BDNFは歯状回から海馬CA3に投射する苔状綿維の走行に対し束状化を促し、BDNF発現部位とは異なる部位に投射するよう作用していると考えられた。この結果は、海馬CA3-苔状線維の情報がBDNFの不足によって混乱する可能性を提示する。この領域の失調は、認知症にも、また、統合失調症にも関連するという可能性の報告がある。本発見は新しい見地から疾病理解を促進する可能性があり、急ぎMol Brain誌に発表した。一方、神経栄養因子の効果を強める可能性のある薬物の作用機序に関しての論文をJ Pharmacol Sciに発表し、今後の創薬に新しい方向性を示せた。他に、雄ラットでも脳において、女性ホルモン(の異性体)17アルファ-エストラジオールが作られること、牛枢神経機能に効果があることも突き止め、投稿準備中である。女性ホルモンと認知症発症の関係には議論があり、本研究が一定の役割を果たすと考えられる。
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Research Products
(7 results)