2007 Fiscal Year Annual Research Report
TNF-αシグナルとEGFシグナルの交差干渉におけるTAK1キナーゼの役割
Project/Area Number |
19590063
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
櫻井 宏明 University of Toyama, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (00345571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
済木 育夫 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (80133776)
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Keywords | TNF-α / EGF / TAK1 / TAB1 / TAB2 / EGFR / ERbB3 / クロストーク |
Research Abstract |
ErbB受容体ファミリーは、肺がん、乳がんをはじめ多くのがん細胞で過剰発現や変異等が報告されており、がん悪性化に密接に関与している。一方、TNF-αシグナル伝達系は、NF-κBやJNK/p38 MAPKなどのストレス応答シグナルを活性化し、がん細胞のアポトーシス制御や転移などに密接に関与していることが明らかにされてきた。そこで、本研究では、TNF-αシグナルとEGFシグナルの協調的制御機構について検討した。その結果、EGFによるJNK/p38活性化は、TNF-αシグナルにおいて重要な役割を果たすTAK1の活性化を介さないことを確認した。ところが、EGFはTAK 1活性化因子TAB1およびTAB2のリン酸化を誘導した。TAB1のリン酸化はp38を介していること、TAB2のリン酸化はp38を介していないことを見出した。また、これらリン酸化が起こると、TNF-αtによるTAK1活性化が阻害されることを見出した。これとは逆に、TNF-αシグナルはEGFRのチロシンキナーゼの活性化を介さずに、細胞内へ局在化させることを見出しており、両結果からTNF-αシグナルとEGFシグナルはお互い阻害し合うという現象(交差干渉)があることを見出した。 また、ErbB受容体のがん悪性化に関する研究を行い、マウスメラノーマ細胞の転移能にheregulin刺激によるErbB3活性化が関与していることを見出した。これには、ErbB3とEGFRがヘテロダイマーを形成し、EGFRチロシンキナーゼが細胞内シグナルに重要な役割を果たしていることを見出した。 さらに、成人T細胞白血病ウイルスの癌遺伝子産物TaxによりTAK1の恒常的活性化が起こっていることを見出した。これは、TAB2の過剰発現により起こっていること、下流のJNK-ATF2経路を活性化することを見出した。
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