2009 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ異常を引き起こす線虫ABC輸送体の生理機能の研究
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19590066
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大橋 綾子 Iwate Medical University, 薬学部, 教授 (90272484)
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Keywords | トランスポーター / オルガネラ / 生理機能 / 線虫 / グノム / 薬学 / バイオテクノロジー / 遺伝学 |
Research Abstract |
平成21年度は、線虫腸内顆粒形成に関するABC輸送体HAF-4/HAF-9の機能と、栄養状態変化や成虫化に伴うHAF-4/HAF-9陽性顆粒の変動を中心に解析し、以下の成果を得た。[連携研究者岩手医大・薬学部白石博久丹治貴博錦織健児] 1. HAF-9の細胞内局在解析HAF-4とHAF-9の共局在これまでの解析で、線虫ABC輸送体haf-4とhaf-9のそれぞれの欠損変異体は、複数の共通する表現型を有していた。そこで、今年度はHAF-9にも注目し解析を進めた。まず、HAF-9::mCherry及びHAF-9::GFPを発現するトランスジェニック線虫を作成し、HAF-9の局在を解析したところ、いずれも腸細胞内の顆粒膜上に局在した。また、HAF-4::GFP発現線虫とHAF-9::mCherry発現線虫との掛け合わせ実験により両者は同じ顆粒に共局在することが示された。以上より、2つの輸送体蛋白は相互作用、もしくは協調して機能する可能性が考えられた。 2. HAF-4/HAF-9の局在する腸内顆粒の解析栄養状態の変化に伴う腸内顆粒の変動HAF-4::GFP発現線虫において、栄養状態の変化(幼虫における飢餓刺激と、飢餓状態からの回復)に伴う、腸内顆粒の変動を調べた。トランスジェニック体におけるHAF-4::GFP陽性顆粒を顕微鏡観察した結果、飢餓刺激で顆粒は消失したが、餌再投与でHAF-4::GFP陽性顆粒が再形成されることがわかった。 3. HAF-4/HAF-9の局在する腸内顆粒の解析成虫老化における腸内顆粒これまでの解析で、haf-4やhaf-9の欠損変異体では、腸内顆粒は幼虫最終齢から成虫初期において顕著に消失するが、その後顆粒の数は増大する。成虫で増大する顆粒とHAF-4,HAF-9の関連を調べるため、野生型と変異体の成虫におけるABC輸送体HAF-4/HAF-9の局在を観察した。野生型成虫ではHAF-4は一部の顆粒にのみ局在し、大部分の顆粒には存在しなかった。またhaf-9変異体線虫ではHAF-4の顆粒上の局在がいっさい見られなかった。ABC輸送体HAF-4/HAF-9は幼虫から成虫への移行期に主要な顆粒上で働いている可能性が考えられた。 4. HAF-4/HAF-9の局在する腸内顆粒の解析顆粒の精製法の確立HAF-4::GFP陽性腸内顆粒の分離・精製に関して、条件検討を進めた。線虫の生殖腺の発達する前に個体を破砕し、脱核して分画することで腸内顆粒の精製自体は行うことができた。しかしながら、量的問題(純度を高めると極端に少量の粒顆粒しか精製できない点)を解決できなかったため、今後の研究戦略を変更して、個体(野生型と変異体の幼虫腸全体)を用いたプロテオーム解析を進めた。
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Research Products
(6 results)