2007 Fiscal Year Annual Research Report
赤核脊髄路-小脳におけるパーキンの発現分布および神経伝達における機能解析
Project/Area Number |
19590067
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野田 百美 Kyushu University, 薬学研究院, 准教授 (80127985)
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Keywords | パーキンソン病 / 原因遺伝子 / パーキン / 赤核 / ATP受容体 / パッチクランプ法 / シナプス前終末 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
パーキンソン病原因遺伝子の一つであり、ユビキチン・プロテアソーム系で働くユビキチン・リガーゼ酵素・パーキンは、神経伝達物質の受容体の一つ、イオンチャネル型ATP(アデノシン三リン酸)受容体(P2X受容体)に作用し、P2X受容体反応を有意に増強させることがわかった。また、P2X受容体のうち、P2X4を発現していない上頸交換神経節細胞ではパーキンによる増強作用が見られなかったことから、パーキンはP2X4を含むタイプの受容体(主にP2X6とのヘテロマー)に作用すると考えられた。そこで、以下のことを明らかにしようとした。 1)P2X4/6受容体サブタイプとパーキンの共発現:赤核におけパーキンおよびP2X4受容体の局在を免疫組織染色で詳細に観察したところ、小細胞・大細胞があるうち、主に25μm以上の大細胞で共発現していた。 2)パーキン・P2X4受容体が発現する神経細胞と神経伝達物質:パーキン及びP2X4受容体が発現する大細胞がどのタイプの神経細胞であるかを同定するため、シナプス小胞の各種神経伝達物質トランスポーターの抗体を用いて組織免疫染色を行ったところ、大細胞の多くがコリン作動性、グルタミン酸作動性であり、GABA作動性神経細胞のマーカーではあまり染まらなかった。 3)パーキンとP2X受容体の機能解明:赤核脊髄路・小脳におけるシナプス伝達に、多様な神経伝達物質と一緒に放出されると考えられているATPとその受容体(P2X4/6)がどのように関与しているのかを電気生理学的に検証することを試みた。 赤核を含む部位の脳スライス標本でパッチクランプ法によるATP作動電流(P2X受容体電流)の観察方法は慈恵医大のグループに習った。ATPの還流方法の問題からか、大細胞に発現するP2X受容体の反応は検出できなかったが、シナプス前終末からの神経伝達物質放出を反映するシナプス後電流の頻度および振幅がATPによって増大した。従って、少なくともシナプス前終末にあるP2X受容体の機能とパーキンとの関係を探ることが可能であることが判明した。次年度は例数を増やして統計値をパーキン欠損マウスのそれと比較検討する。
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