2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久下 理 Kyushu University, 理学研究院, 教授 (30177977)
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Keywords | リン脂質 / 代謝調節 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
本研究の最終年度にあたる本年度は、これまでに得られた研究成果をふまえ、リン脂質の細胞内輸送機構の解明に焦点を絞って研究を行った。 哺乳動物細胞において、主要リン脂質の一つであるホスファチジルセリン(PS)は小胞体で生合成され、その多くがミトコンドリア内膜に輸送されミトコンドリア内膜酵素であるPS脱炭酸酵素によりホスファチジルエタノールアミン(PE)へと変換される。このPS脱炭酸経路は動物細胞において、細胞膜や細胞内の各オルガネラ膜のPEレベルを正常に保つために必須の経路であり、それら生体膜の機能発現に密接にかかわっているものと考えられる。しかしながら現在、この経路に関わるリン脂質合成酵素に関しては多くのことが明らかにされているものの、PSの小胞体からミトコンドリアへの輸送機構、及びミトコンドリア外膜から内膜への輸送機構はほとんど理解されていない。我々は、これまでに、PSの小胞体からミトコンドリアへの輸送には、ミトコンドリアと接触している小胞体の特殊な膜領域(MAM)、細胞質タンパク質S100B、ミトコンドリア膜タンパク質ATAD3が関与することを明らかにしており、さらに昨年度、ATAD3と相互作用する興味あるタンパク質、Mitocoilを同定した。本年度はMitocoilの性状・機能解析を行い、以下の重要な知見を得た。1)Mitocoilを過剰発現するとミトコンドリアが断片化した異常な形態を示す。2)Mitocoilの発現を抑制するとミトコンドリアが長いチューブ状の異常な形態を示す。3)Mitocoilはミトコンドリア内膜に局在する膜貫通タンパク質である。これらのことから、Mitochoilは、ミトコンドリアの形態維持に関与するタンパク質であり、ミトコンドリアへの脂質輸送にも関与する可能性が考えられた。
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