2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳発達に伴うGIRKチャネル機能の変化、ストレスの影響とGIRの抑制薬の作用
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19590069
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
白崎 哲哉 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (30264047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高濱 和夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (80150548)
副田 二三夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (10336216)
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Keywords | GIRKチャネル / 母仔隔離 / ストレス / モノアミン / パッチクランプ / mRNA / 行動試験 |
Research Abstract |
生後2~9日目まで1日4時間母子隔離した。まず、生後10日~15日目の縫線核ニューロンにおける5-HT誘発GIRK電流の電流密度に影響が見られないことを確認した。続いて、5-HTニューロンの投射先である海馬CA1において、急性単離ニューロンの5-HT、ノルアドレナリン、バクロフェン、アデノシン誘発GIRK電流を観察したところ、錐体細胞と非錐体細胞いずれにおいても各アゴニストの投与により内向き整流性電流が惹起された。しかし、電流を惹起するニューロンの比率はアゴニストにより異なった。セロトニン誘発電流は、錐体細胞の78%、非錐体細胞の72%で惹起されたが、母仔隔離により、それぞれその比率が70%と43%に減少した。しかし逆に、錐体細胞においては電流密度がゴントロールの3.3倍に有意に増強し、非錐体細胞の一部でも増強が見られた。ノルアドレナリン誘発電流は、45%の錐体細胞と50%の非錐体細胞で観察され、母仔隔離により応答する錐体細胞の割合が74%に増加した。また、電流密度も増強される傾向がみられた。一方、バクロフェン誘発電流は、錐体細胞の42%と非錐体細胞の36%で観察され、母仔隔離により非錐体細胞で応答ニューロンの確率が若干上昇したもののほとんど影響を受けなかった。アデノシン誘発電流についてもほとんど影響されない傾向がみられた。隔離終了翌日の生後10日目にGIRK2mRNA発現量を縫線核、海馬、前頭前皮質において測定したところ、縫線核と前頭前皮質では有意な差は見られなかったが、海馬では有意な減少が見られた。生後4週目に不安行動を評価したところ、母仔隔離群で不安が減弱しているように見えたが、統計学的には有意な差は見られなかった。今後、特に変化が顕著であった5-HT誘発GIRK電流の増強についてさらにそのメカニズムや意義を解明する必要がある。
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