2008 Fiscal Year Annual Research Report
がんの浸潤・転移の素過程におけるインテグリン-マトリックス相互作用の解析
Project/Area Number |
19590084
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
辻 勉 Hoshi University, 薬学部, 教授 (00143503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 佐生智 星薬科大学, 薬学部, 助教 (70308013)
奥 輝明 星薬科大学, 薬学部, 助教 (20409361)
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Keywords | 細胞接着 / 細胞運動 / インテグリン / がん浸潤・転移 / マトリックス分解酵素 / ラミニン |
Research Abstract |
本研究では,がんの浸潤・転移の素過程におけるα3β1インテグリンの役割について検討した.胃がんの腹膜播種性転移におけるα3β1インテグリンと細胞の運動性・浸潤性およびマトリックス分解酵素産生との関連について解析し下記の結果を得た. (1)腹膜中皮細胞の産生するマトリックスの調製:マウス腹膜および横隔膜に緩和なトリプシン処理することにより腹膜中皮細胞を単離し,単層になるまで培養した.次いで界面活性剤/尿素処理により中皮細胞産生マトリックスを調製した. (2)マトリックスに対する細胞接着:3種類の胃がん細胞株(MKN1, GT3TKB, NUGC-4)を用い,中皮細胞産生マトリックスに対する接着を評価したところ,いずれの細胞においてもα3β1インテグリン依存的な強い接着が認められた. (3)ボイデンチャンバー法による細胞浸潤実験:チャンバーの上室と下室を仕切る膜を中皮細胞産生マトリックスまたはラミニン5を含むマトリゲルでコートしたところ,マトリゲル単独の場合に比べ, MKN1細胞の浸潤能が亢進し,これは抗α3インテグリン抗体により抑制された. (4)マトリックス分解酵素の産生誘導:ラミニン5をコートした培養プレートでMKN1細胞を培養すると,マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)-9の産生が増強されることが示された.この増強効果は,加えたラミニン5の濃度依存的であった. 以上の結果より,胃がん細胞に高発現するα3β1インテグリンと腹膜中皮マトリックス構成成分であるラミニン5の相互作用が胃がんの腹膜転移に対し促進的に働くことが推測された。
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Research Products
(4 results)