2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経系細胞における無刺激状態及びストレス負荷時P2X7受容体活性制御機構の解明
Project/Area Number |
19590089
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長澤 一樹 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 准教授 (30228001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 洋一郎 京都薬科大学, 薬学部, PD (80380062)
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Keywords | アストロサイト / 神経細胞 / ATP / 亜鉛 / P2X7受容体 / 核酸輸送担体 / ストレス |
Research Abstract |
当該研究は、無刺激及びストレス負荷状態におけるP2×7受容体の活性調節に関与する分子機構を解明し、脳神経系恒常性維持に対しP2×7受容体が重要な役割を担うという新たな概念を提唱することを目的とする。 平成19年度では、マウスアストロサイトに発現するP2×7受容体の活性は、非ステロイド性抗炎症剤によっても活性が上昇し、少なくとも一部それは細胞の増殖制御に関与する核内受容体の抑制を介したものであることを認めた。現在、その分子実体の薬理学的および分子学的手法による同定を進めている。一方、ラットアストロサイトに発現するP2×7受容体はマウスの揚合と異なり、ATPなどのリガンドがない条件では活性化状態にないことが分かり、その差異は少なくとも受容体発現量の差によって説明されることを示した。今後、この種差を利用することにより、P2×7受容体の活性制御機構の解明が可能になるものと考えられる。 神経細胞におけるP2×7受容体の発現の有無については未だ結論が得られていない状態にあるが、我々は培養神経細胞にもP2×7受容体の発現することを濯M及びタンパク質レベルで確認し、それはATP刺激により活性化され、特徴的なボアを形成するとともに、神経細胞死を誘発した。これは神経細胞に機能的P2×7受容体が発現することを見出した初めての知見であり、現在その神経細胞死に関与する下流分子を検索している。 また、グルコース枯渇/再還流ストレスを負荷した神経細胞は、産生された活性酸素種によって死に至るが、それにはシナプス間隙に放出された亜鉛によるアラキドン酸の12-リポキシゲナーゼ系代謝の活性化を介した活性酸素種の産生が関与することを明らかにし、従来の知見に新たな情報を提供することができた。 さらに、脳神経系における細胞外情報伝達物質として注目されている核酸の脳内動態制御機構について検討した結果、それは神経細胞及びアストロサイトのいずれにおいても核酸輸送担体を介して取り込まれものの、その細胞あたりの活性はアストロサイトの方が有意に多いことを初めて定量的に証明し、アストロサイトによる細胞外核酸の除去が脳内恒常性維持に重要な役割を担うことを明らかにした。現在、酸化ストレス負荷状態におけるその動態制御の変化について検討を進めている。
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Research Products
(12 results)