2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経系細胞における無刺激状態及びストレス負荷時P2X7受容体活性制御機構の解明
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19590089
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長澤 一樹 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 准教授 (30228001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 貞毅 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80090182)
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Keywords | アストロサイト / ストレス / ATP / P2X7受容体 / adenosine / トランスポータ |
Research Abstract |
昨年度の成果に基づき、マウスアストロサイトにおいて恒常的活性化状態にあるATP作動性P2X7受容体の活性制御機構について解析を進めた結果、それは細胞分化やサイトカイン生成に関与する核内受容体として知られるPPARγによって負に制御されることが示され、さらにPPARγは核のみならず細胞膜/細胞質にも発現することを見出し、これはその核内受容体の特徴とは異なった速やかな作用発現を説明するものであった。本知見は、細胞を死に導く受容体と考えられてきたP2X7受容体の活性が、ATPのみならず炎症性反応に深く関与するPPARγによって制御され、生理的状態のみならず病的状態においても脳内恒常性維持に重要な役割を担うことを示唆する興味深いものである。 脳神経系において酸化ストレスが負荷されるとadenosineの濃度が上昇することが知られているが、その詳細は不明である。生理的状態において細胞外adenosine濃度制御を担う主要な細胞であるアストロサイトによるadenosineの取り込みは、酸化ストレス負荷により明らかに低下し、これはその取り込み関与するマイナーなトランスポータの機能的変化に起因するものであった。このことは、酸化ストレス負荷された脳神経系細胞に対するadenosineの細胞保護作用発現にトランスポータが重要な役割を担うことを指摘する新たな知見である。 以上の成果は、ATPに加え、その代謝物であるadenosineの細胞外動態が脳内恒常性維持において重要な役割を担っており、その制御がストレスによって誘発される有害事象回避に繋がることを示唆している。
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