2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590094
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
有竹 浩介 Osaka Bioscience Institute, 分子行動生物学部門, 研究員 (70390804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 志力 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (10321704)
星川 有美子 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (10390808)
丸山 俊彦 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (70414133)
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Keywords | プロスタグランジンD_2 / リポカリン / プロスタグランジンD合成酵素 |
Research Abstract |
リポカリン型プロスタグランジン(PG)D_2合成酵素(L-PGDS)は、脳膜やオリゴデンドログリアの細胞内でPGD_2産生を触媒し、これらの細胞から脳脊髄液に分泌され、脳脊髄液の主要蛋白質であるβ-traceとして脂溶性低分子化合物の結合と輸送も行う多機能蛋白質である。一方、PGD_2は水溶液中で、容易に脱水反応を起こしてPGJ_2、Δ^<12>-PGJ_2、15-deoxy-Δ^<12,14>PGJ_2(15d-PGJ_2)などのJシリーズPG(PGJs)へ変換する。本研究では、脳脊髄液に分泌されたPGD_2の輸送やPGJsの代謝に関するL-PGDSの機能解析を行った。 表面プラズモン共鳴法を用いて結合実験を行ったところ、L-PGDSはPGD_2と可逆的に結合し(K_D=20nM)、その結合親和性はレチノイン酸と同等であった。NMRによるPGD_2のタイトレーション実験の結果、PGD_2はレチノイン酸の結合部位とは異なり、酵素活性中心Cys65を取り巻く疎水性ポケット付近に結合することを証明した。^3H-PGD_2を緩衝液中でアルブミンあるいはL-PGDSの存在下に反応させると、アルブミン存在下にPGD_2はPGJsへ分解されたが、L-PGDS存在下では反応開始から24時間後まで反応上清中にはPGJsは検出されず、蛋白質画分の放射活性が反応時間依存的に増加した。この結果はからPGD_2はPGJsに分解された後、L-PGDSに不可逆的に結合すると考えられたので、PGJsをL-PGDSと共存させたところ、PGJsは、5分以内にL-PGDSに不可逆的に結合し、L-PGDSと15d-PGJ_2の複合体のアミノ酸分析を行ったところ、酵素活性中心のCys65に結合していることも判明した。 これらの結果から、PGD_2は産生後に細胞外へ分泌され、脳脊髄液中のL-PGDSに捕捉されて標的組織まで輸送され、DP受容体を刺激して情報を伝達する。一方、PGJsは、L-PGDSに強固に結合して不活化され排泄されると考えられた。
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Research Products
(6 results)