2007 Fiscal Year Annual Research Report
KSHVがコードするリン酸化酵素の生理機能の解明と創薬への展開
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19590097
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤室 雅弘 Hokkaido University, 大学院・薬学研究所, 助教 (20360927)
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Keywords | 創薬 / ウイルス / 感染症 / がん |
Research Abstract |
ヘルペスウイルスは感染者の免疫不全により様々な日和見疾患を起こすが、有効な治療薬が開発されていないカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)感染症は、特に深刻な問題である。現在臨床で用いられているアシクロビル(ACV)はヘルペスウイルスに対して、高い選択性と強い抗ウイルス活性を示が、KSHVに対しては効果を持たない。我々はKSHV感染がん化B細胞に対して、高いウイルス選択性と殺細胞活性を有するヌクレオシド誘導体類を開発している。これら核酸代謝拮抗薬のウイルス選択性はKSHVの発現するチミジンリン酸化酵素(ORF21)やリン酸基転移酵素(ORF36)によるモノリン酸化効率と推測されるが、その真偽や作用機序は不明である。また、KSHVのORF21とORF36の基質特異性や生理的基質が明らかになれば、それらの情報は抗KSHV薬設計や開発を行なうための有益な情報となる。そこで、我々は以下に記したKSHVのORF21とORF36の機能解析を行なった。 我々の開発した核酸誘導体類のKSHV感染がん細胞に対する増殖抑制活性を測定した結果、複数の化合物は、ウイルス非感染Bリンフォーマ細胞株の増殖には影響を与えず、KSHV感染Bリンフォーマ細胞株に対して高い増殖抑制を示した。また、薬物はKSHV感染細胞のp21とp27増加による細胞周期のG1期停止とアポトーシスを誘導していることが明らかとなった。さらに、化合物の有するKSHV感染選択的な殺細胞活性は、KSHVのORF21によるヌクレオシドに対するモノリン酸化作用に起因することも明らかになった。一方で、KSHVのORF36の機能解析により、ORF36は複数の細胞性因子とKSHVのウイルス蛋白質をリン酸化し、NF-κB等の細胞内シグナル伝達の制御も行なっていることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)