2008 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎治療薬の開発:皮膚エステラーゼ機能解析によるプロドラッグデザイン
Project/Area Number |
19590101
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
今井 輝子 Kumamoto University, 薬学部, 教授 (70176478)
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Keywords | 経皮吸収 / プロドラッグ / 加水分解 / カルボキシルエステラーゼ / エステル交換 / 抗アレルギー薬 / 基質認識性 / 皮膚 |
Research Abstract |
本研究では軽症から中等症のアトピー性皮膚炎に対する抗アレルギー薬のプロドラッグ開発を企図した。すなわち、疎水性バリアーである角質層にプロドラッグとして滞留し、徐々に表皮・真皮に移行したのち、皮膚内に存在するエステラーゼによって加水分解されて、親薬物を放出し、薬効を発揮するタイプのプロドラッグの開発を目指した。 まず、皮膚内エステラーゼを同定した結果、ラット、ブタおよびヒトの皮膚には数種のエステラーゼの存在が確認され、特に、カルボキシルエステラーゼが加水分解活性のほとんどを担うことを明らかにした。また、この酵素は皮膚内において、エステル交換反応を触媒することを見出した。 本研究でデザインしたフェキソフェナジンエチルエステルは皮膚表面から角質層に移行し易いものの、その塩基性と疎水性のために、角質層に滞留し、徐々に表皮・真皮に移行し、エステラーゼによって加水分解された親薬物のみが皮膚を透過することを明らかにした。また、プロドラッグの遊離基と同じエタノールを添加剤として用いることにより、吸収促進効果と同時に加水分解が抑制され、皮膚内プロドラッグ濃度を増大することができた。プロドラッグは皮膚成分との親和性が強いために、皮膚内濃度が増大しても血中へ移行することはなく、加水分解した親薬物のみが血中へ移行した。このように、皮膚構造とエステラーゼの機能の特徴を活かすことにより、皮膚滞留型のアトピー性皮膚炎治療薬のデザインが可能になることを示した。
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Research Products
(3 results)