2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590107
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大場 基 Showa University, 腫瘍分子生物学研究所, 講師 (70297018)
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Keywords | 再生医療 / PKC / 分子標的薬 |
Research Abstract |
マウスモデルにおいてPKCetaの過剰発現や活性化による発毛誘導が確認された。そこで、PKCetaを分子標的とした毛髪再生技術の確立を目指した。第1に、PKCeta特異的活性化脂質であるコレステロール硫酸(CS)をナノ粒子化し、発毛誘導実験を行った。CSは表皮角化層に対する透過性が低いため、皮膚内への浸透が不十分であった。そこで皮膚特異的浸透性をもつナノカプセルにCSを充填し、皮膚への投与を行った。しかしながら、発毛は認められなかった。第2に、放線菌培養上清や海洋由来物質等を化合物シーズとして、新規PKCeta転写活性化剤・転写誘導剤の探索をFRET法を原理としたin vivo酵素活性測定システム、PKCetaプロモーターを使用した転写活性レポーターシステムを用いて行った。特にFRET系によるPKCeta活性測定システムの感度を向上させるため、蛍光蛋白質を変更することによるシステムの改良を行った。さらに、PKCetaトランスジェニックマウスの解析を通じて、PKCetaによる発毛誘導機構の解析を行った。その結果、PKCetaはEGFファミリー遺伝子(HB-EGF, Epiregulin, TGF-alpha)の増殖因子を表皮分化層より分泌し、パラクライン的に基底細胞を増殖刺激することが明らかとなった。その一方で、PKCetaの発現する細胞群(表皮顆粒層・毛包内毛根鞘)の分化を促進させた。すなわち、PKCetaは増殖と分化を同時に制御するバイファンクショナルなPKCであった。また、血管新生や毛包の成長期に重要な働きを示すVEGFの発現が誘導されること、p38MAPKが関与することなどが明らかとなった。
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