2007 Fiscal Year Annual Research Report
DDSを指向したヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の創生
Project/Area Number |
19590110
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
長岡 康夫 Kansai University, 化学生命工学部, 准教授 (90243039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上里 新一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50111969)
服部 喜之 星薬科大学, 薬学部, 講師 (90350222)
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Keywords | ヒストン脱アセチル化酵素 / ドラッグデリバリーシステム / HDAC阻害剤 / DNAナノプレックス / 遺伝子発現増強 / ナノプレックス / ナノパーティクル / リポソーム |
Research Abstract |
本年度は、DDSを指向したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤として6種類の化合物を合成し、それらの製剤化と機能評価を行った。当該製剤の利用により、前立腺がん細胞への効率的な遺伝子導入を可能にすると共に、導入遺伝子の発現率を従来法の約4倍増強することに成功した。 本年度合成した化合物は、我々がすでに開発しているHDAC阻害剤に種々のリンカーを介して、脂肪酸やコレステロールを結合した基本構造を有する。リンカー結合部は細胞内酵素による分解可能なエステル結合かジスルフィド結合で形成されている。この6種類の化合物それぞれと界面活性剤および陽性コレステロール誘導体を適当な比率で混合したものを原料として、修正エタノール法によりナノパーティクル製剤を作成した。このナノパーティクル製剤に分泌性ルシフェラーゼ遺伝子を持つプラスミドDNAを吸着させて、DNAナノプレックスを作成した。このDNAナノプレックスを前立腺がん細胞に作用させることによる外部遺伝子発現効率の評価をルシフェラーゼアッセイ法により行った。 この実験の結果、当該DNAナノプレックス製剤は、対照となる製剤(従来の製剤)と比較して、約4倍の遺伝子発現増強作用があることがわかった。この結果は当該研究課題である「DDSを指向したHDAC阻害剤の創製」に成功したことを示しており、今後、抗がん治療薬や遺伝子治療への応用が期待される。次年度はこの基本構造を基にさらに活性の高い化合物の創生と製剤化の検討を行う予定である。
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