2009 Fiscal Year Annual Research Report
サラシノールをシードとする新規スルホニウム塩型食後過血糖改善剤の合成と活性評価
Project/Area Number |
19590111
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田邉 元三 Kinki University, 薬学部, 准教授 (40217104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峯松 敏江 近畿大学, 薬学部, 助手 (60088151)
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Keywords | salacinol / Salacia reticalata / 糖尿病治療薬 / α-グルコシダーゼ阻害剤 / スルホニウム硫酸分子内塩 / 環状硫酸エステル / カップリング反応 / チオ糖 |
Research Abstract |
報告者らがインドやスリランカの伝承医学,アーユル・ヴェーダで糖尿病の治療薬物Salacia reticulataから単離した強力なα-グルコシダーゼ阻害作用を示す成分,salacinol(1)[Tetrahedron Lett., 8367(1997)]は,1,4-dideoxy-1,4-epithio-D-arabinitol型5員環チオ糖スルホニウム部とそのスルホニウム上に硫酸エステル構造をもつエリスリトール側鎖を備える新奇な構造を有し,α-グルコシダーゼ阻害活性発現には1の水酸基の立体化学が大きくかかわることが示唆されている.本年度は,イソアスコルビン酸から調製したエポキシ体(2)のメルカプトエタノールとのカップリング反応で得たジオール(2)を光学活性な2種の(+)-および(-)-grycidol (3)との処理して1のC_3-C_4結合を開裂した化合物(4および5)を合成した。また,ジオール(2)と昨年度に合成した環状硫酸エステル(D-5,L-5)を用いて4および5のホモログ(6および7)を合成し,これらのα-グルコシダーゼ阻害活性を評価した。その結果、すべての化合物の活性は完全に消失し,1のC_3-C_4結合の開裂は活性を著しく低下させることが判明した.本年度の結果および昨年度までの結果を合わせて,非環式誘導体を用いた1の5員環チオ糖構造に関する構造活性相関を評価した結果,強い阻害活性発現には1の5員環チオ糖構造が必須で,C_2-C_3およびC_3-C_4結合の開裂は著しい活性の低下につながることを明らかにした。
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