2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗パクリタキセルモノクローナル抗体を活用したTaxus属植物の探索並びに育種研究
Project/Area Number |
19590119
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 宏幸 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (30253470)
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Keywords | パクリタキセル / モノクローナル抗体 / ELISA / イムノクロマトストリップ |
Research Abstract |
本年度も、パクリタキセル(PA)に対するモノクローナル抗体(MAb)の作製を中心に展開した。PAを認識する抗体を作製するために、PA誘導体としてキシロシルPA(xyl-PA)をハプテンとして用いた。3度の細胞融合を試みた結果、1種の抗PA MAbの作製に成功した。本抗体は、PAのみならずPA関連化合物であるドセタキセルに対し71%、キシロシルPAに対し32%、セファロマニンに対して6.2%の交差反応性を示した。続いて、本抗体を用いて競合的システムによるELISAを構築した。 本手法を用いることにより、15〜250ng/mlの濃度領域においてPAを定量しうることを確認した。また、本ELISAの信頼性試験にっいては各種濃度のPA標準溶液を対象としたイムノプレート内とイムノプレート間の測定誤差を調べることで検証した。その結果、イムノプレート内の測定値の変動係数(CV)は4.3%以下であり、イムノプレート内の測定値のCVは5.5%以下であったことから、今回開発したELISAが十分な信頼性を有するものであることが明確となった。 以上のようなELISAの評価を終え、今回開発したELISAはPAを比較的特異的に認識しうることから現在南方医科大学晁博士から提供を受けたTaxus chinesisサンプルを材料としてPA高含有品種の選抜育種につながる基礎的な研究を続けている。また、PAに加え臨床において広く使用されている半合成医薬品であるドセタキセルも認識できるMAbは、薬物動態研究などの臨床薬学的研究を行う上で有用なツールと考えている。 ELISAの他、イムノクロマトストリップによる簡便分析キットならびにEastern blottingによる多成分同時免疫染色法についても現在鋭意研究を重ねている段階にある。
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