2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト消化管での薬物動態に与えるプロバイオティクスの役割
Project/Area Number |
19590123
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 美貴子 Keio University, 薬学部, 講師 (90396391)
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Keywords | 消化管 / 薬物動態 / プロバイオティクス / 薬物代謝酵素 / 薬物輸送担体 / 脂質異常症 / メタアナリシス |
Research Abstract |
薬物代謝酵素および薬物輸送担体の遺伝子発現や機能に対するプロバイオティクスの影響を明らかにすることで、これらを制御および利用し、疾患予防や薬物療法の効率化を図ることを目指し、研究を遂行している。 In vitro:ヒト消化管のモデルである3週間培養したCaco-2細胞に、プロバイオティクスとしてLactobacillus casei(L.casei)を暴露した。Caco-2細胞からmRNAを抽出し、リアルタイムPCR法にてCYP1A1・1B1遺伝子の発現量を測定し、EROD活性によりCYP1A活性を評価した。さらにL.caseiによるこれら遺伝子発現および活性の制御機構の解明を試みた。その結果、L.caseiはAhR(芳香族炭化水素受容体)のアゴニスト/アンタゴニストとして働き、CYP1familyによる発がん物質の代謝活性化を抑制することが明らかとなった。従って、プロバイオティクス摂取によるがん予防作用に、この制御機構が寄与している可能性が示唆された。 In vitro:昨年度Caco-2細胞を用いたin vitro実験で得られたL,caseiによるUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)活性の低下作用をラットを用いたin vitro実験で検証中である。また、ヒト消化管でのCYP3AおよびP-gpに対するプロバイオティクスの役割を評価することを目的に、研究実施計画に基づき、Human studyを開始した。 文献評価:既に発表された臨床試験論文を収集して統計螺析(メタアナリシス)を行った結果、プロバイオティクス摂取、特に長期間摂取(>4週間)は、血清TC値およびLDL-C値低下効果を示すことが検証できた。この低下率は臨床上意義あるものであり、脂質異常症の予防や治療におけるプロバイオティクス摂取の有用性が示唆された。
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Research Products
(4 results)