2008 Fiscal Year Annual Research Report
高感度重金属バイオセンサーの開発を目的とする細胞内亜鉛応答システムの研究
Project/Area Number |
19590125
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大塚 文徳 Teikyo University, 薬学部, 教授 (80160547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 信滋 (独)安衛研・人間工学, リスク管理研究グループ, 首席研究員 (80183325)
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Keywords | 環境 / 衛生 / 亜鉛センサー / 亜鉛 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究では重金属によって活性化される転写因子MTF-1の重金属応答機構を明らかにし、ぞの情報を基盤として環境中重金属の高感度バイオセンサー作出を目指している。 MTF-1の重金属応答を知るために昨年度確立したレポーターアッセイシステムを用いて、作成済みの各種点変異体に関して機能解析を行った。すなわち 1. MTF-1と重金属との相互作用に重要と思われるMTF-1のすべてのCysとHis残基点変異体を用いてレポーターアッセイを行った結果、亜鉛依存的な転写活性化にはMTF-1の6個の亜鉛フィンガーのうち第1〜5フィンガーの重要性が示唆された。また、第5フィンガーはDNA結合性の低下を介さずに転写活性化に関与する特異なフィンガーであることがわかった。この他、亜鉛依存的な転写活性化に重要なCys残基を数カ所発見した。以上の結果は、 MTF-1の重金属応答性の分子基盤を解明する重要な糸口となりうる. 2. MTF-1の細胞内分布に関しては研究者の間で異論があり、未だ結論が得られていない。我々はMTF-1が核に局在することを示してきたが、今回GFPをC末端に融合させたMTF-1とその欠失変異体を作成し、 NLS(核局在シグナル)の同定を試みた。亜鉛フィンガーのすぐN末側にある典型的なNLS配列はMTF-1の核局在には関与せず、亜鉛フィンガードメインがNLSとなっていることが明らかになった. 3. MTF-1の亜鉛に対する応答性を上昇させるために、重金属結合タンパク質であるメタロチオネインをMTF-1に融合させ、重金属のMTF-1への受け渡しが高効率に起こることを期待した。しかし、レポーターアッセイの結果では、MT融合MTF-1の亜鉛応答性は野生型と大差無く、亜鉛応答性を上昇させることはできなかった。おそらく、 MTF-1の関与する重金属応答システムの全貌が明らかになることによってさらなる高感度化の突破口が見いだせるものと考えている。
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