2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素発癌に関わる多様なヒ素活性種と発癌組織特異性との関連
Project/Area Number |
19590126
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山中 健三 Nihon University, 薬学部, 教授 (50182572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 孝一 日本大学, 薬学部, 講師 (60246931)
溝井 睦美 日本大学, 薬学部, 助手 (60366630)
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Keywords | ジメチルアルシン / ジメチルアルシンラジカル / ジメチルアルシン過酸化ラジカル / ヘモグロビン / 発がん組織特異性 / 赤血球 / 鉄 / 肺発がんプロモーション |
Research Abstract |
課題1:肺ならびに皮膚発癌におけるジメチルヒ素活性種の生成と組織特異性 肺ならびに皮膚発癌におけるイニシエーターとしてジメチルアルシンを介して生ずるジメチルアルシンラジカル、ジメチルアルシン過酸化ラジカルを明らかにしてきたが、これらラジカルのこれら組織に対して何故特異性を示すのかが不明である。この点を明らかにするために、酸素分圧の高い組織における発癌組織特異性はジメチルアルシンが赤血球内で代謝生成し、ヘモグロビンと結合することでジメチルアルシンが安定的に肺や皮膚組織まで運搬され、酸素分子と反応することでヒ素ラジカルが生成するものと考え、ジメチルアルシンをはじめとするヒ素活性種の赤血球内での生成を確認するとともに、現在、赤血球ヘモグロビンに対する親和性などの物理化学的性質を把握するとともに、肺、皮膚に対する発癌特異性の可能性を確認している。 課題2:ジメチルヒ素活性種の肺発癌における鉄の影響 ヒ素発癌の中で、膀胱に対する究極代謝活性体として含硫ジメチルヒ素が推定されてはいるが、未だ不明である。そこで、ヒ素汚染井戸水において、ヒ素のみならず鉄も多く含まれることが報告されており、異なる活性種の生成に伴う発癌影響も相互作用を受けることが予想される。そこで、ジメチルヒ素の肺発癌プロモーション作用における鉄の影響を検討した。その結果、ジメチルヒ素飲水投与によるマウス肺発がんプロモーション作用を鉄の同時投与により顕著に増大することを明らかにした。これは、ジメチルヒ素ならびに鉄の代謝過程で生ずる活性種の相互作用によるものと推定された。現在、さらに発がん実験動物モデルの改良を試みている。
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