2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素発癌に関わる多様なヒ素活性種と発癌組織特異性との関連
Project/Area Number |
19590126
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山中 健三 Nihon University, 薬学部, 教授 (50182572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 孝一 日本大学, 薬学部, 准教授 (60246931)
溝井 睦美 日本大学, 薬学部, 助手 (60366630)
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Keywords | ジメチルアルシン酸 / 鉄 / 肺発癌動物実験モデル / マウス / ヒ素ラジカル / ヒ素過酸化ラジカル / 肺組織特異性 |
Research Abstract |
課題1:肺発癌におけるジメチルヒ素活性種の生成と組織特異性 動物に対して発癌性を有するジメチルアルシン酸に由来するヒ素活性種の生体内生成と肺に対する発癌特異性を明らかにすることを目的とした。その結果、血球内にわずかに取り込まれたジメチルアルシン酸はジメチルアルシンに容易に変換されること、酸素を導入するとこの血球は溶血することなどから、ヒ素ラジカルやヒ素過酸化ラジカルが生成することが推定された。また、ヒ素ラジカルやヒ素過酸化ラジカルが非酵素的に生体内生成することも明らかにし、これには還元型グルタチオンが必須であることも示した。本研究成果から、ヒ素発癌機構を解明する上で重要な提案がなされたと考えられ、今後、本研究分野の進展に大きく貢献できると思われる。 課題2:ジメチルヒ素活性種のマウス肺発癌モデルの開発 前年度から予備検討をしてきたヒ素肺発癌実験モデルの開発を目指し、ヒ素と相互作用を示す鉄とジメチルヒ素の肺発癌作用における影響を検討した。飼育50週間の検討から、ジメチルアルシン酸と鉄の同時投与によりマウス肺腫瘍、特にその悪性度が増大することを明らかにした。ヒ素汚染井戸水において、ヒ素のみならず鉄も多く含まれることが報告されており、異なる活性種の生成に伴う発癌影響も相互作用を受けることが予想される。したがって、ヒトのヒ素発癌のリスク評価を行う上でも、ヒ素発癌に影響する重要な環境化学要因を提示したことは、新規発癌モデルの開発にとどまらず、本研究分野への貢献は大きいと思われる。
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