2007 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンによる発がんプロモーター活性に係る転写因子の作用機序の解析
Project/Area Number |
19590127
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
手塚 雅勝 Nihon University, 薬学部, 教授 (00046294)
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Keywords | ダイオキシン / 細胞増殖 / Ahレセプター / E2F / AhR / Arnt |
Research Abstract |
Ahレセプター(AhR)はその構造内にbHLH/PASドメインを有し、ダイオキシン類をはじめとする芳香族炭化水素をリガンドとする受容体型転写因子である。以前我々は、ヒト肺がん由来A549細胞において、AhRリガンドの添加ならびにAhR過剰発現が細胞周期S期への移行を速め、その結果、細胞増殖を促進することを報告した。またそのメカニズムの一部として、細胞周期関連転写因子であるE2Fの標的遺伝子の発現量がAhR依存的に増加することを明らかにした。さらに、このAhRによる細胞増殖促進作用は、AhRのヘテロダイマーパートナーであるArntの存在に依存することを示した。そこで、本研究では、AhR/ArntとE2Fとの相互作用をより詳細に検討した。E2FおよびAhR/Arntの活性は、エンハンサー部位にE2F結合部位もしくはXRE(AhR/Arnt結合部位)配列を含むルシフェラーゼ遺伝子を用いたリポータージーンアッセイにより検討した。各因子同士あるいはそれらとDNAとの相互作用は、免疫沈降法およびクロマチン免疫沈降法(ChIPアッセイ)により解析した。AhRおよびArntの共存によりE2F依存的な転写活性の上昇が観察された。その一方でE2Fの存在はAhR/ArntのXRE配列に対する転写活性を低下させた。また、免疫沈降法によりE2F、AhRおよびArntの共沈が確認された。さらに、ChIPアッセイによりAhRがE2F結合配列上に存在すること、またAhRリガンド処理は、E2FのE2F結合配列への結合活性を増強することが示された。これらの結果から、AhR/Arntは、E2Fと複合体を形成することでE2FのDNAへの結合活性を増強すること、その一方でE2FはAhR/ArntのXRE配列に対する転写活性を抑制することが示された。
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Research Products
(22 results)