2008 Fiscal Year Annual Research Report
アリル炭化水素受容体のアゴニストが精子産生機能に及ぼす影響のin vivo解析
Project/Area Number |
19590128
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
木津 良一 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 薬学部, 教授 (80143915)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞田 法子 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (60411089)
後藤 由佳 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (90509259)
|
Keywords | 内分泌撹乱作用物質 / ダイオキシン類 / Ah受容体 / 精子産生 |
Research Abstract |
In vitroでAhRに作用し抗男性ホルモン作用を示す化合物(3-methylcholanthrene; 3MC)がin vivoにおいて精子産生機能を阻害するか否か、損なう場合はその機構、特にAhRの作用機構を明らかにすることを目的とし、雄性マウスを用いて下記の研究を行った。本研究では、3MCをマウスの精細管内に直接注入し、3、4、5週間処置した後、顕微鏡を用いて精子細胞とセルトリ細胞を観察し、精子の計測を行うことにより、精子産生機能障害を評価した。3MCをマウスの精細管内に注入する前に、抗ガン剤であるブスルファンを腹腔内投与し8週間処置した。まず、雄性ddYマウスにおける3MCの効果を検討したところ、3MCによる著名な精子産生阻害は観察されなかった。また、組織切片を作製し、精細管内のセルトリ細胞及び精子細胞中のCYP1A1タンパク質の発現を免疫染色により検討したところ、CYP1A1タンパク質の発現はbasalレベルでは観察されたのに対し、3MCによる著名な誘導発現は観察されなかった。また、AhRノックアウトマウスを用いて同様に検討したところ、3MCの精子産生機能に対する著名な影響は観察されなかった。また、精細管内のセルトリ細胞及び精子細胞中のCYP1A1タンパク質の発現を免疫染色により検討したところ、CYP1A1タンパク質の発現はbasalレベルでは観察されたのに対し、3MCによる著名な誘導発現は観察されなかった。以上の結果から、本研究の条件(PAH、投与量、飼育日数)では、3MCは精子産生阻害を示さないことが示唆された。しかしながら、近年、精子の質の低下が提唱されているなど、環境汚染物質による精子産生機能障害の可能性は十分考えられることから、実験の条件を再検討し、再度環境汚染物質による精子産生機能障害を検証する必要があると考えられる。
|
Research Products
(8 results)