2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590131
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
瀧口 益史 Hiroshima International University, 薬学部, 准教授 (90330753)
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Keywords | カドミウム / DNAメチル化 / エピジェネティック / DNAメチル化酵素 / 亜鉛 |
Research Abstract |
我々は,カドミウムが非常に強くDNAメチル基転位酵素活性を阻害することを明らかにしている。また,ラット培養細胞へ短期間(1週間)カドミウムを投与すると,細胞内DNAメチル基転位酵素(DNA MTase)活性が低下し,それに伴い核内DNAのメチル化レベルが対照細胞より有意に低下することを見出している。これらの結果は,カドミウムの抗ガン機構にDNAのメチル化異常が関係している可能性を示唆するものと考えられる。そこで本年度は,カドミウムによるDNAメチル化異常の機構解析の一環として,まずDNA MTaseの亜鉛結合部位へのカドミウムの影響を調査した。酵素源としてはラット肝臓由来細胞lysisと精製されたバクテリアDNAメチル基転位酵素(M.SssI)を用い,亜鉛及びカドミウムを添加し,それらDNA MTase活性に対する影響を調べた。その結果,亜鉛及びカドミウムは両酵素ともに強く阻害した。つまり,亜鉛結合部位を持つラットDNA MTaseも持たないM.SssIともにカドミウムが阻害したこと,また亜鉛自身も両酵素の活性を阻害したことから,カドミウムによるDNA MTase阻害作用は酵素中の亜鉛と置き換わることにより機能変化したためではないことが示唆された。一方,我々は以前の研究でカドミウムは酵素とDNAとの結合を非拮抗的に阻害することを明らかにしている。また今回,カドミウムや亜鉛によるDNA MTase活性阻害はジチオスレイトールの添加により消失することを明らかにした。さらに,ほとんどのDNA MTaseの活性中心にはPro-Cysのアミノ酸基が存在し,そのCysの-SH基がDNAと結合するためには重要であることが知られている。これらのことを考え併せると,カドミウムは酵素活性中心のPro-Cysの-SH基に結合することでDNAと酵素の結合を阻害していると考えられた。
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