2008 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛による神経細胞アポトーシスにおける細胞内カルシウム・ホメオスタシスの役割
Project/Area Number |
19590133
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
川原 正博 Kyushu University of Health and Welfare, 薬学部, 教授 (40224828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定金 豊 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (60293304)
木葉 敬子 九州保健福祉大学, 薬学部, 助手 (00369175)
永田 哲也 九州保健福祉大学, 薬学部, 助手 (00454992)
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Keywords | 亜鉛 / カルシウム / アポトーシス / p8 / 小胞体ストレス / アルツハイマー病 / プリオン病 / 虚血性神経細胞死 |
Research Abstract |
亜鉛によるアポトーシスのメカニズムを解明するために、視床下部神経細胞由来の細胞株であるGT1-7細胞およびラット海馬初代培養神経細胞を用いて研究を行った。亜鉛は、濃度依存的に神経細胞のアポトーシスを引き起こす。細胞内Ca^<2+>イメージングを行った結果、亜鉛が細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を引き起こすことから、Ca^<2+>ホメオスタシスの関与が示唆された。また、さらに亜鉛による神経細胞死を抑制する物質を探索した結果、カルノシン、ヒスチジン、クエン酸などが抑制することが明らかになった。そこで、DNAマイクロアレイ解析により亜鉛による神経細胞死の過程で発現している遺伝子群を探索した結果「、MT-2、ZnT-1などの金属結合蛋白等に加えて、さまざまな遺伝子群等の発現が増加していることが判明した。RT-PCRを用いて、これらの遺伝子の亜鉛による発現パターン、カルノシン等の抑制物質の影響を観察した結果、p8、GADD34など小胞体ストレス関連遺伝子群の発現が大きく関与していることが明らかになった。 さらに、このような亜鉛のホメオスタシスに影響する因子を検討した結果、銅・亜鉛結合蛋白であるプリオン蛋白に着目し、プリオン蛋白の神経毒性に及ぼす金属の影響を検討した結果、銅亜鉛が細胞毒性を限弱させることが判明した。小胞体ストレスは、虚血性神経細胞死のみならずアルツハイマー病を初め多くの神経疾患で変化することが報告されており、本研究により、これらの抑制物質が他の神経疾患の予防につながる可能性も示唆された。
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