2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤をはじめとするヌクレオシド系薬物のトランスポーター介在輸送と薬効との関係
Project/Area Number |
19590135
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 満 Hokkaido University, 病院, 准教授 (60332467)
|
Keywords | トランスポーター / ヌクレオシド / ENT / CNT / ゲムシタビン |
Research Abstract |
Na^+依存性ヌクレオシドトランスポーター(CNT)およびNa^+非依存性ヌクレオシドトランスポーター(ENT)が同時に発現している細胞においては, 高濃度の基質存在下ではENTによる輸送が優位であるのに対し, 基質が低濃度の場合はCNTが優位であり, 細胞内に取り込まれた薬物は細胞膜内側に局所的に濃縮され, さらに生じた細胞内外の濃度勾配によりENTを介して排出されることが示唆された. この時, ENTの活性を阻害すると阻害しないときに比べて細胞内への薬物蓄積量が増大した. したがって, ENT阻害剤を共存することで薬物の細胞外への流出を遅延させ, 薬効の持続あるいは低濃度での効果増強が期待できるものと推測された. そこで, CNTおよびENTの基質であり, 抗がん剤であるゲムシタビンの殺細胞効果におよぼすENT阻害剤の影響を検討した. アフリカミドリザル腎臓由来COS-7細胞を用い, 細胞内に取り込まれたゲムシタビンの排出阻害時における殺細胞効果を検討した. ゲムシタビン曝露後, ENT阻害剤であるニトロベンジルメルカプトプリンリボシド(NBMPR)を添加した培地で細胞を培養し, 生存率をXTTアッセイ法により測定した. その結果, NBMPR存在下において細胞生存率の減少が認められた. すなわち, そのIC_<50>値はHBMPR添加時で0.71μMに対し非添加時では1.96μMであり, ゲムシタビン曝露後にNBMPRを添加して培養した方が高い殺細胞効果が認められた. これらの結果より, ゲムシタビン曝露後のENTによる薬物排出を抑制することにより, より高い抗腫瘍効果が得られる可能性が示唆された.
|