2008 Fiscal Year Annual Research Report
土壌微生物由来の薬理活性物質DIFの作用機構解析と有用DIF誘導体の開発
Project/Area Number |
19590136
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久保原 禅 Gunma University, 生体調節研究所, 准教授 (00221937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
保坂 公平 群馬大学, 医学部, 教授 (70108992)
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Keywords | 細胞性粘菌 / 抗腫瘍剤 / 糖尿病 / 糖代謝 / DIF / 低分子化合物 |
Research Abstract |
下等真核微生物の1種である細胞性粘菌Dictyostelium discoideumは、発生過程の最後に胞子塊と柄細胞より成る子実体を形成する。D.discoideumの柄細胞分化誘導因子として、粘菌細胞が産生する低分子脂溶性物質DIF-1が同定されている(1987年)。我々は、このDIF-1が抗腫瘍活性を有することを発見し(1995年)、以来、その作用機構の解析と、より有効なDIF誘導体(抗がん剤)の開発を進めてきた。また、正常細胞(non-transformed cells)に対するDIFsの毒性を検討している過程で、「DIF-1が細胞の糖代謝を促進する」ことを発見し、この新しいDIF-1の機能牝ついて研究を進めている。 平成20年度の本研究において我々は; 1.DIF-1のアミド化誘導体を化学合成し、それらの生物活性を比較検討した結果、いくつかの有望な誘導体を得た。 2.その他の各種DIF誘導体を用いて糖代謝促進活性を比較検討した。その結果、DIF-1よりも強い糖代謝促進活性を有し、かつ弱い抗腫瘍活性を有する誘導体DIF-1(3M)を見出した。さらに、糖尿病モデルマウスを用いて、DIF-1(3M)の血糖値に対する効果を検討した結果、腹腔内にDIF-1(3M)を投与することによって、食後の血糖値をコントロールに比べて速く下降させることを見出した。これらの結果は、DIF誘導体が「肥満・糖尿病治療薬」として利用できる可能性を示唆している。
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Research Products
(8 results)