2008 Fiscal Year Annual Research Report
シトクロムP450 3A4の薬物酸化部位選択性に関する研究
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19590137
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
畑 晶之 Matsuyama University, 薬学部, 准教授 (50241972)
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Keywords | CYP3A4 / 密度汎関数法 / 分子動力学計算 / カルバマゼピン / エポキシ化反応 / 水酸化反応 / 活性化エネルギー / ONIOM法 |
Research Abstract |
当初計画に従い、1 CYP3A4による薬物酸化機構-量子化学計算による検討、2 CYP3A4による薬物酸化機構-分子動力学計算による検証、3 まとめを行った。1について。まず、CYP3A4のフェニルアラニン304(Phe304)とアラニン305(Ala305)がCBZを保持するという条件で、基質カルバマゼピン(CBZ)の10-11位以外に酸化され得る部位があるかどうかを調べた。その結果、CBZの8位と9位が該当し、分子力場計算によって、その可能性が確かめられた。分子力場計算の結果を基に前年度と同様のモデルを作成し、密度汎関数法によりCBZに対する酸化反応の機構を求めたところ、律速段階における活性化エネルギーは、9位酸化の場合は26.9kcal/mol、8位酸化の場合は27.0kcal/molであった(B3LYP/6-31G**レベル)。この値は10-11位のエポキシ化の場合(21.3kcal/mol、同レベル)に比べて大きい。2について。分子動力学計算により、CYP3A4の活性部位内におけるCBZの挙動を解析した。CYP3A4の活性部位にはフェニルアラニンクラスターとよばれる領域(Phe304を含む)があり、CBZはその領域と、水素結合のみならず、π/π相互作用によっても保持されることがわかった。また、シミュレーション中、CBZの10位はCYP3A4による酸化を最も受けやすい位置に留まっていた。このことは、CYP3A4の活性部位はCBZがエポキシ化を受けるに適した形状になっていることを示唆している。3について。以上の結果より、CYP3A4による薬物酸化部位の選択性は、反応の活性化エネルギーの大小と活性部位の形状により生じるのではないかと考えられる。このことは、CYPによる代謝物のin silico的予測において重要な意味をもつ。
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Research Products
(2 results)