2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト赤血球膜における薬物輸送と薬物相互作用・有害反応の場としての赤血球
Project/Area Number |
19590145
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯元 良子 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70379915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 幹久 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20211336)
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Keywords | 反転赤血球膜小胞 / 薬物相互作用 / 有害反応 / 赤血球内移行 / バルプロ酸 / カルバペネム系抗生物質 / MRP |
Research Abstract |
本研究は、薬物相互作用や有害反応の分子メカニズムについて、薬物の赤血球内移行の観点から解明することを目的としている。本年度はヒト赤血球から反転膜小胞(IOVs; inside-out vesicles)を調製し、ヒト赤血球膜における排出トランスポーターMRP機能について評価し、以下の結果を得た。 1)MRP基質である2,4-dinitrophenyl-S-glutathione (DNP-SG)、メトトレキサート(MTX)および5-(and-6)-carboxy-2',7'-dichlorofluorescein (CDCF)のIOVsへのATP依存的な取り込み活性に温度依存性および濃度依存性が認められた。各種MRP阻害剤の影響およびヒト赤血球膜にはMRP1,4,5が発現していることから、DNP-SGの高親和性輸送はMRP1介在性であること、MTXを用いることによって主にMRP4の輸送特性を、またCDCFを用いることによってMRP5の輸送特性を評価できることが示唆された。 2)抗てんかん薬であるバルプロ酸(VPA)はいずれの基質の取り込みも阻害した。一方、カルバペネム系抗生物質であるパニペネム(PAPM)はDNP-SGおよびMTXの取り込みを阻害したが、CDCFの取り込みは阻害しなかった。 3)VPAのIOVsへの取り込みにはATP依存性が認められた。また、ヒト洗浄赤血球において、VPAの赤血球内蓄積量がPAPAMによって有意に増加し、VPA排出の阻害が示唆された。 今後は、ヒト赤血球膜における各種MRPの発現レベルと輸送活性との相関解析を行うとともに、赤血球内に取り込まれたバルプロ酸の運命についても検討を加える。
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Research Products
(4 results)