2008 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンによるアクアグリセロポリンの発現調節機序解析とグリセロール代謝調節
Project/Area Number |
19590150
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
臼井 茂之 Gifu Pharmaceutical University, 薬学部, 准教授 (40176665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 和行 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90057365)
井口 和弘 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (10295545)
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Keywords | アクアポリン3 / アクアグリセロポリン / エピネフリン / マグネシウム / トラフィッキング / プロテインキナーゼA / プロテインキナーゼC / グリセロール |
Research Abstract |
本年度は、AQP3によるグリセロール輸送の調節機機構とグリセロール輸送を介したAQP3の血糖値調節に果たす役割について研究を行った。AQP3はアクアグリセロポリンの一種で、水以外にグリセロールや尿素などの低分子も透過し、ヒトでは小腸と表皮に多く存在している。AQP3欠損マウスでは血中グリセロール濃度の低下が観察されていることから、小腸に局在するAQP3の生理機能の一つとして、食物に含まれるグリセロールの消化管吸収を司ることが推察されている。本研究では消化管吸収というAQP3の生理的役割に着目し、制酸剤(胃腸薬)の主要成分であるマグネシウム(Mg)のAQP3発現に及ぼす影響と血糖上昇ホルモンであるエピネフリンのAQP3膜移行(トラフィッキング)に及ぼす影響について検討した。著者らは、ヒト大腸癌由来Caco-2細胞を酢酸マグネシウムで処理することにより、12時間後にAQP3mRNA発現が上昇することを認めた。シグナル伝達因子阻害剤を用いてMg刺激によるこの発現上昇のシグナル伝達経路を検討した結果、PKAやMEKを介することが確認された。また、AQP3mRNAの発現調節に転写調節因子CREBが関わることをレポータージーンアッセイにより明らかにした。一方、著者らは、血糖上昇ホルモンであるエピネフリンをCaco-2細胞に作用させたところ、60分以内に細胞質に局在していたAQP3が細胞膜に移行することを共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察により初めて明らかにした。また、ウェスタンブロット等の生化学的手法を用いてこの膜移行を定量的に測定した結果、エピネフリン刺激6O分後には細胞膜のAQP3が約2倍に増加することを認めた。このAQP3膜移行は、PKC阻害剤により阻止され、PKC活性化剤により促進されることから、膜移行調節にはPKCが深く関わることを明らかにした。
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