2009 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンによるアクアグリセロポリンの発現調節機序解析とグリセロール代謝調節
Project/Area Number |
19590150
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
臼井 茂之 Gifu Pharmaceutical University, 薬学部, 准教授 (40176665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 和行 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90057365)
井口 和弘 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (10295545)
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Keywords | アクアポリン3 / アクアグリセロポリン / エピネフリン / マグネシウム / トラフィッキング / プロテインキナーゼA / プロテインキナーゼC / グリセロール |
Research Abstract |
グリセロールは糖新生の原料やトリグリセリドの合成原料となることから、生体のエネルギー代謝に関与する物質である。アクアグリセロポリン類(AQP3, 7, 9)はグリセロールの透過に関わる細胞膜局在タンパク質と考えられているので、これらAQPの発現調節や細胞内トラフィッキング調節の機序を明らかにすることは、生体のエネルギー代謝調節機構を解明する上で非常に重要である。AMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)は生体のエネルギー充足度合いにより活性調節されることから、細胞内エネルギーセンサーとして機能する酵素と考えられている。本酵素は解糖系や脂質代謝系に関わる様々なシグナル伝達分子を調節することが知られているが、AQPが関与するグリセロールを介したエネルギー代謝調節との関連は明らかでない。そこで本年度は、糖代謝や脂質代謝が盛んな肝臓のアクアグリセロポリンであるAQP9に着目し、AQP9のエネルギー代謝調節への関与を解明する目的で、AMPKによるAQP9の発現調節機序について検討を行った。ヒト肝癌由来HepG2細胞にAMPKの活性化剤であるAICARを添加することにより、AQP9mRNA発現量が低下することを見出した。この発現抑制は、AMPKの阻害剤であるCompound Cにより消失した。AQP9レポーターベクターを用いてAQP9の転写活性に及ぼすAICARの影響を測定した結果、転写調節因子forkhead box A2(FoxA2)がAICARによるAQP9転写抑制に関与する可能性が示唆された。 FoxA2は糖質代謝や脂質代謝に関わる種々の酵素の転写を調節することが知られていることから、AQP9はグリセロールの透過を介してエネルギー代謝に関与していることが推察される。
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