2010 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンによるアクアグリセロポリンの発現調節機序解析とグリセロール代謝調節
Project/Area Number |
19590150
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
臼井 茂之 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (40176665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 和行 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90057365)
井口 和弘 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (10295545)
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Keywords | アクアポリン9 / アクアグリセロポリン / AMP活性化プロテインキナーゼ / AICAR / Akt/PKB / Foxa2 / リン酸化 / 核外輸送 |
Research Abstract |
アクアポリン9(AQP9)はヒト肝臓に多く存在し、水及びグリセロールや尿素等の低分子物質を透過する膜タンパク質である。AQP9により肝臓に取り込まれたグリセロールは、糖新生や脂質合成の原料となり、また、AQP9欠損マウスでは、肝臓にグリセロールが取り込まれないため、血中グリセロール濃度の上昇が観察されている。。我々は、AQP9の発現がAMP-activated protein kinase(AMPK)の活性化剤であるAICARにより抑制されることを見出したので、ヒト肝癌由来HepG2細胞におけるAQP9の発現調節に及ぼすAMPKの関与について検討した。 HepG2細胞にAICAR(1mM)を24時間作用させ、AQP9 mRNA発現量をReal-time RT-PCR法にて測定したところ、約25%に低下した。AQP9転写活性をレポータージーンアッセイ法を用いて測定した結果、転写因子としてforkhead box a2(Foxa2)の関与を認めた。そこで、Foxa2 siRNAを用いてFoxa2遺伝子の発現を抑制したところ、それに伴ってAQP9遺伝子発現も抑制された。次に、AICARによるFoxa2の細胞内局在性変化を蛍光染色による共焦点レーザー顕微鏡を用いて測定したところ、AICARはFoxa2を核外へ移行させることが確認された。更に、この核外移行は、核外輸送体CRM-1の阻害剤であるLeptomycin Bによって阻害された。また、リン酸化特異的抗体を用いたウェスタンブロット法により、AICARはAMPK、 Akt(PKB)及びFoxa2のリン酸化を促進することを確認した。以上の結果から、AICARは、APMKの活性化に基づくAktの活性化を経てFoxa2を活性化し、核外移行させることにより、AQP9の転写抑制を引き起こしていることが示唆された。
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