2008 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシンII受容体過剰発現による腎炎増悪機構解析
Project/Area Number |
19590152
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小野 孝彦 University of Shizuoka, 薬学部, 教授 (60243028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 和秀 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (20303844)
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Keywords | 遺伝子 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 / 薬理学 |
Research Abstract |
本研究では、新規レニンアンジオテンシン系亢進AT_1a受容体過剩発現マウスとIgA腎症モデルマウス(HIGAマウス)を交配することより、血管障害と糸球体硬化の進行する系を開発し、その機構を解析することを目的として研究を継続実施した。塩分負荷による糸球体肥大に関する検討により、PAS染色の所見から塩分負荷後、ホモ接合型、野生型ともに糸球体の肥大、細胞増殖が観察された。その際、ホモ接合型、野生型を比べた時に糸球体の面積は、ホモ接合型マウスにおいてより増加がみられた。また糸球体内の細胞数は、ホモ接合型マウスは有意に細胞数の増加がみられた。また抗CTGF染色、抗fibronect血染色おいて、PAS染色の所見と同様にホモ接合型、野生型に塩分負荷を行うことでそれぞれの陽性面積率が増加していた。そこで塩分負荷が線維化の悪化機序に関係していることが考えられた。 次にIgA腎症におけるAT1a受容体刺激の役割を明らかにするため、PCR法を用いて雄性のAT_1a受容体過剰発現ヘテロ接合型マウスと雌性のHIGAマウスの交配により生まれた個体の遺伝子型の判定を行い、AT_1a受容体過剰発現遺伝子に関してヘテロ接合型マウス及び野生型マウスに群分けした。IgAの蓄積はAT_1a受容体野生型とヘテロ接合型で有意な変化は認めなかった。収縮期血圧は野生型と比べヘテロ接合型で約5mmHgと軽度な上昇が見られ、31週以降では常に上回っていた。PAS染色では、糸球体面積は野生型に比べヘテロ接合型の方が大きく、メサンギウム細胞の増殖も観察された。また、尿細管上皮細胞では空胞変性を認めた。マツソン・トリクローム染色、fibronec血免疫染色、CTGF免疫染色では、陽性面積が野生型に比べヘテロ接合型の方が有意に増加していたことから、AT_1a受容体を介した線維化促進、増殖因子の発現促進が起ったと考えられた。
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Research Products
(10 results)