2007 Fiscal Year Annual Research Report
外傷による動脈性勃起障害の病態解明-新しい薬物療法の確立をめざして-
Project/Area Number |
19590153
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
木村 和哲 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 教授 (00423848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 進 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (70275147)
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Keywords | nitric oxide / erectile dysfunction / 陰茎海綿体 / phosphodiesterase-5阻害剤 / 動脈脈性ED |
Research Abstract |
【目的】動脈性の血管病変によって、どの程度陰茎海綿体が影響を受けるか動物モデルで検討した。 【方法(1)】内腸骨動脈結紮による段階的な陰茎虚血モデル(ウサギ)を作成し、摘出した海綿体平滑筋の弛緩反応を評価した。結紮後、3日、1、4週間で陰茎海綿体を摘出し、平滑筋張力測定記録解析装置を用いて、アセチルコリンによる内皮依存性弛緩反応と電気刺激によるNO作動性神経による弛緩反応、NOドナーであるニトロプルシッドの弛緩反応を比較した。コントロール群はシャム手術群とした。【結果(1)】陰茎海綿体は、局所的な動脈閉塞に伴う虚血早期に内皮機能障害を呈することが明らかとなった。しかしながら、動脈閉塞が長期に及ぶとsham群と同程度にまで内皮依存性弛緩が回復したため、何らかの修復機構もしくは代替機構の存在が示唆された。また、長期間閉塞状態が続いても、NOドナーによる反応や神経刺激に伴う弛緩にほとんど影響が無かったため、陰茎が虚血に陥っても海綿体平滑筋のNO-cGMP系や海綿体内神経機能は温存されると考えられた。 【方法(2)】内腸骨動脈結紮による動脈性EDモデルラットモデルを作成し、その勃起機能を検討した。結紮後、3日、1、4週間で海綿体神経を電気刺激し、海綿体内圧を測定した。また、電気刺激後、陰茎海綿体を摘出し、その海綿体平滑筋の各種NOS(nitric oxide合成酵素)のm RNAの発現を調べた。【結果(2)】勃起機能(海綿体内圧/平均体血圧,勾配)は3日結紮群で低下し1週間,4週間でも低下したままであった。結紮群のnNOS, eNOS mRNAは3日間で発現が減少し、1週間、4週間では回復傾向が見られた。 以上の結果より、急性の動脈性EDモデルでは、早期に陰茎海綿体の内皮細胞障害が観察され勃起機能の低下が見られた。また、受傷後数週間経過するとその内皮細胞機能は回復傾向にあったが勃起機能の低下は回復せずEDの状態であった。今後、内皮細胞機能が回復しているにもかかわらず勃起機能が回復しない理由を突き詰めるとともにバイアグラなどPDE-5阻害剤の投与を受傷後早期に行い、勃起機能の回復が可能かどうか検討する予定である。
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