2009 Fiscal Year Annual Research Report
細菌由来スーパー抗原によるヒトリンパ球の免疫抑制薬耐性発現機序と各種抗菌薬の効果
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19590162
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平野 俊彦 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 教授 (90173252)
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Keywords | スーパー抗原 / ヒト末梢血単核細胞 / 免疫抑制薬 / インターロイキンー2 / 溶血性連鎖球菌 / カテプシン / ペプスタチン / ロキシスロマイシン |
Research Abstract |
本研究の前年度までの成果から、細菌由来スーパー抗原で刺激したヒト末梢血単核細胞(PBMC)は種々の免疫抑制薬の増殖抑制効果に対して抵抗性を示すことが分かった。そこで本年度は、スーパー抗原刺激したPBMCにおける免疫抑制薬耐性の分子機序解析を目的とし、PBMCからのIL-2の分泌量やIL-2の分解系について検討した。IL-2の分泌量はELISA法あるいはビーズアレイ/フローサイトメトリー法により分析した。溶血性連鎖球菌由来スーパー抗原のSPEAで刺激したPBMCは、通常のT細胞マイトゲンで刺激したPBMCに比べて、培養上清中に多量のIL-2を分泌した。マクロライド系抗生物質のロキシスロマイシンは、SPEAで刺激したPBMCの増殖を有意に抑制すると共に、PBMCからのIL-2分泌量を有意に低下させた。SPEAで刺激したPBMCの培養系にさらにIL-2を添加し、その量を経時的に追跡したところ、IL-2が培地中に長時間存在していることを確認した。次に、IL-2分解酵素のカテプシン活性を阻害するベプスタチンの存在下または非存在下に、SPEAで刺激したPBMCからのIL-2の産生量を検討した。しかしながら、ペプスタチンはIL-2濃度に有意な影響を及ぼさなかった。SPEAで刺激したPBMCに対するロキシスロマイシンの細胞増殖抑制作用は、ベタメタゾンとの併用により増大した。 以上の結果から、SPEAはPBMC培養上清中のIL-2量を増加させるが、その機序にはIL-2分解系は関与せず、IL-2の産生量を促進させるものと考えられた。ロキシスロマイシンは、スーパー抗原刺激したPBMCからのIL-2産生を抑制し、PBMCの増殖を抑えるものと考えられた。さらに本年度の研究から、細菌感染を併発する自己免疫疾患患者に対する、ロキシスロマイシンの有用性が支持された。
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Research Products
(1 results)