2009 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の皮膚常在微生物を指標とした治療反応予測因子の系統的検出
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19590164
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉田 隆 Meiji Pharmaceutical University, 薬学部, 准教授 (10312076)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 皮膚常在微生物叢 / 反応予測因子 / 診断 / 治療 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎患者は皮膚セラミドバリアー機能が損傷しているため、皮膚常在微生物抗原に対してIgE応答することがある。われわれはこれまでに、皮膚常在微生物がアトピー性皮膚炎の増悪因子となることを見出し、これを制御することで治療(除菌療法)に貢献できることをこれまでの一連の研究から明らかにしてきた。すなわち、1)皮膚の主要常在微生物叢である真菌マラセチアは、その定着量および特異IgE産生は重症度と相関する。2)難治性の成人頭頸部型の患者では、抗真菌薬の投与により症状が改善される。アレルゲンとしての患者個別の皮膚微生物叢を解析することで、患者個別の治療法を提供することが可能となり、治療効果および患者のQOLの向上に寄与できる。 本年度は、アトピー性皮膚炎患者に抗真菌薬による除菌療法を行った患者の鱗屑中薬物濃度と菌叢との関係を調べた。鱗屑をKOH処理後、LC-MS/MSで抗真菌薬の未変化体と代謝産物を定量した。鱗屑中からは当該抗真菌薬を検出することができた。Real-time PCRで真菌マラセチアを定量すると、その定着量は投与前に比べて投与後は有意に減少した。また、マラセチア特異IgE値も減少した。臨床効果との相関をみると、1)特異IgE値が高い、2)マラセチア定着量が高い患者により高い効果が認められた。鱗屑中薬物濃度に差異は認められなかった。以上のことから、除菌療法における用法・用量よりも、特異IgE値とマラセチア定着量が効果に与える因子であることが示唆された。
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Research Products
(18 results)