2008 Fiscal Year Annual Research Report
セロトニン神経の可視化によるネットワーク形成の分子メカニズム
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19590175
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
調 恒明 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 非常勤研究員 (50179058)
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Keywords | セロトニン神経 / 発生 / ネットワーク形成 |
Research Abstract |
申請者らは、遺伝子導入ゼブラフィッシュを作製し、セロトニン神経ネットワークをYFPにより可視化することに成功した。これにより、セロトニン神経のネットワーク形成機構に関する研究が事実上初めて可能となった。このゼブラフィッシュを利用し、セロトニン神経の投射を共焦点レーザー顕微鏡を用いて詳細に検討した。その結果、セロトニン神経の軸索は、脊髄、小脳、嗅球に投射し、しかも細胞体存在する位置によって投射する領域が決定されている事を明らかにした。さらにこれに関連して以下のような研究を行った。 Kirre/ Dumbfounded遺伝子は、ショウジョウバエにおいて筋肉細胞の移動と融合および視神経の軸索ガイダンスにかかわる事が知られているが、脊椎動物における役割は明らかになっていない。 申請者は、ゼブラフィッシュのkirre遺伝子が、神経系においては体節、中脳、後脳、側線の移動中のprimordial cellに発現している事を見いだした。kirre遺伝子をantisense morpholinoの微量注入によって阻害すると、primordial cellの移動が遅れる事、SDF-1とkirreの両者を阻害すると、多くの場合、背側後方に向かって移動するprimordial cellの細胞集団と分離せず、背側に移動する事を観察した。この事は、kirre遺伝子が側線primordial cellの移動にSDF-1と協調して働く事を示唆する。 遺伝子導入ゼブラフィッシュについてセロトニンの蛍光染色を行い、セロトニンニューロンが確かに標識されている事を確認した。また、共焦点レーザー顕微鏡を用いセロトニン神経細胞体を詳細に観察しセロトニン神経細胞が5つのサブタイプに分類される事を示した。
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