2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の一次線毛の構造と機能に関する分子細胞生物学的研究
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19590188
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
竹田 扇 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20272429)
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Keywords | 神経細胞 / 一次線毛 / 形態形成 / 細胞内情報伝 |
Research Abstract |
マウス培養海馬神経細胞に於いて一次線毛の微細形態、形態形成過程、ならびに一次線毛上に局在する受容体分子やエフェクター分子に関して研究を進めた。培養開始後、5日目位よりadenylylcyclase III(ACIII)で染まる突起様構造が観察され始め、10日目でほぼ80%の神経細胞にこの構造が観察される様になった。この構造を透過型電子顕微鏡で観察すると、その横断面に於いて軸糸構造が9+0を示し、これらの構造が一次線毛である事が明らかとなった。この微細形態に関する結果は全く新しい知見であり、同時に神経細胞の一次線毛が培養細胞レベルでも存在する事を示した点で以後の研究の前提となる重要な結果である。また、幾つかの受容体に対する抗体を用いて免疫蛍光染色を行うと、各種リガンドに対する受容体が一次線毛上に局在する事がわかり、一次線毛が細胞の情報伝達に特異的な修飾作用を波及させている可能性が示唆された。更に、マウス脳の前額断切片に免疫化学染色を施すと、脳の部位特異的にこれらの分子の一次線毛上への局在が観察された。以上の結果から、神経細胞に存在する一次線毛が神経細胞の情報伝達に影響を与えており、その異常がBardet-Biedl症候群で見られる様な多彩な精神・神経症状の病態を説明しうる可能性が提示された。この結果、一次線毛を介した神経系の新しい情報伝達機構の存在を示唆するという意味において、極めて重要である。
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Research Products
(4 results)