2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590199
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山田 久夫 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (00142373)
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Keywords | サテライトグリア / ラット / 細胞新生 / BrdU / NG2 / doublecortin(DCX) / nestin / 神経系前駆細胞 |
Research Abstract |
われわれは、哺乳類成獣脳に存在する神経前駆細胞の分化過程を追究している。これは脳室下帯や海馬といった既知の部位でなく広く脳内に分布するものである。この前駆細胞はNG2陽性のサテライトグリアであるという前提のもとに、本科研費ではこの性質を明らかにする研究をおこなう。前年度の研究では、細胞分裂をBrdUで標識し、各種神経分化マーカーで染色して新生細胞の28日後までの分化過程を明らかにした。本年度、いくつかの疑問点解決をおこなった。(1)まず未熟ニューロンマーカーと言われているDCX分子は神経突起形成にかかわるとされるが、網膜水平細胞では分化成熟後もこの分子を持つことが判明した。このことは水平細胞が成熟後も神経突起再構成をおこない続けているか、または、この分子が別な機能も持つ可能性が示唆された。(2)これまでの研究から分裂細胞のほぼすべてはNG2陽性を示すものの、BrdUで標識された分裂細胞の一部はNG2非陽性であることが判っている。この細胞群の性質を明らかにすることが不可欠であり、染色感度・標識率や観察法などを工夫したところ、NG2非陽性の分裂細胞は血管内皮細胞であって、それを除外するとNG2細胞と神経系分裂細胞は完全一致することが確認された。(3)ニューロンとマクログリア(オリゴデンドロサイト・アストロサイト)は神経系の細胞系譜であるが、ミクログリアは由来が異なる。このミクログリアを標識して区別する必要があり、その点を検索したところ、これまで未分化細胞に発現し神経前駆のマーカーとされてきた中間径フィラメント分子nestinがミクログリアの一部にも発現することが判明した。(4)BrdU標識では1か月以上の長期追究が困難なためか神経回路形成まで観察することができなかったため、レトロウィルスで遺伝子導入したGFPにて標識したところ標識率の問題で本研究には有用でないと判明した。
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Research Products
(5 results)