2008 Fiscal Year Annual Research Report
免疫関連因子PKRが小腸上皮細胞の発生・分化・アポトーシスに果たす役割の解析
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19590201
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
土肥 良秋 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 教授 (30258602)
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Keywords | PKR / ラット小腸上皮細胞 / ラット壁細胞 / IEC6細胞 / 免疫組織化学 / real time RT-PCR / ウェスタンブロッティング / 細胞培養 |
Research Abstract |
二本鎖RNA依存プロテインキナーゼ(protein kinase,RNA regulated; PKR)はウィルス感染やインターフェロン等に応答し、自己リン酸化により活性化した後、自身が持つキナーゼ活性により下流転写調節因子eIF-2α等をリン酸化し、シグナル伝達する酵素であり、細胞の防御機構やアポトーシスに関与する。研究初年度に我々はラット小腸上皮細胞におけるPKRの局在性と分化との関連についてin vivoとin vitroの両系で検討し、成熟期のラットにおいて小腸絨毛部の上皮の頂部と基底部にPKRの免疫陽性反応が確認された。また、小腸上皮における同反応は新生児期から乳飲期にかけて一過性に増強し、以降減弱するも離乳期から再び増強していた。さらに培養ラット小腸上皮細胞株(IEC6細胞)では、培養日数および微絨毛形成により示される分化の進行に応じてPKRの発現量が増加しており、PKRの発現性と小腸上皮細胞の形態的および機能的分化との関連性が示唆された。今年度はin vivoでは、成熟ラット胃粘膜上皮における局在性を検索したところ、固有胃腺構成細胞のうち、壁細胞のみにPKRが発現することがウェスタンブロッティングと免疫細胞化学により確認された。また、in vitroでは、IEC6細胞に対するヒドロコルチゾン添加がPKRの遺伝子発現に及ぼす影響をreal time RT-PCRにより検索したところ、PKRの遺伝子発現はヒドロコルチゾンにより抑制されることが示唆された。以上の結果より、上部消化管においてPKRは特定の機能を有する細胞(小腸吸収上皮細胞と固有胃腺壁細胞)に発現し、消化管における免疫機能にも関わっていることが推察される。
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