2009 Fiscal Year Annual Research Report
免疫関連因子PKRが小腸上皮細胞の発生・分化・アポトーシスに果たす役割の解析
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19590201
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
土肥 良秋 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 教授 (30258602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 景之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30335806)
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Keywords | PKR / ラット小腸上皮細胞 / PKR阻害薬 / IEC6細胞 / 免疫組織化学 / ヒドロコルチゾン / 合成二本鎖RNA / 細胞培養 |
Research Abstract |
二本鎖RNA依存プロテインキナーゼ(protein kinase, RNA regulated ; PKR)はウィルス感染やインターフェロン等に応答し、自己リン酸化により活性化した後、自身が持つキナーゼ活性により下流転写調節因子eIF-2α等をリン酸化し、シグナル伝達する酵素であり、細胞の防御機構やアポトーシスに関与する。研究初年度に我々はラット小腸上皮細胞におけるPKRの局在性をin vivoとin vitroの両系で免疫組織化学とウエスタンブロット解析により検討し、成熟ラット小腸絨毛部の上皮と培養ラット小腸上皮細胞株(IEC6細胞)の細胞質にPKRが発現することを確認した。研究次年度はin vivo実験では、成熟ラット胃粘膜上皮の壁細胞にPKRが発現することを、in vitro実験ではIEC6細胞におけるPKRの遺伝子発現はヒドロコルチゾンにより抑制されることを確認した。研究最終年度である今年度は研究計画を一部変更してin vitroの実験に焦点をしぼり、細胞分化の指標であるalkaline phosphatase活性がIEC6細胞の培養中に細胞分化に伴い増加するが、ヒドロコルチゾンやPKR阻害薬(2-aminopurineおよびPKRinhibitor)の添加により抑制されることを明らかとした。また、合成二本鎖RNA添加により、実際にIEC6細胞にアポトーシスが誘導されることをWST-1アッセイと核染色により確認した。これらの結果から、上部消化管においてPKRは特定の機能を有する細胞(小腸吸収上皮細胞と固有胃腺壁細胞)に発現し、消化管における免疫機能、分化、およびアポトーシスにPKRが関わっていることが示唆された。
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