2007 Fiscal Year Annual Research Report
過分極で活性化される陽イオンチャネルの電位センサーとイオン透過性に関する研究
Project/Area Number |
19590208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 孝広 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (40303812)
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Keywords | 過分極 / チャネル / Ih / HCN / 電位センサー / 点変異 / システイン残基 / ジスルフィド結合 |
Research Abstract |
過分極で活性化される陽イオンチャネル(HCNチャネル)は、心臓のペースメーカー細胞で1980年に初めて記述された。中枢神経系をはじめ生体の様々な場所に発現し、ペースメーカーチャネルとしての役割や細胞の興奮性の調節など生理学的に重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた。HCNチャネルは、電位依存性カリウムチャネル(Kvチャネル)と共通の6回膜貫通領域をもつが、特徴的な性質がある。過分極により活性化する。Kvチャネルに比べ活性化速度が極めて遅い。これらの特徴を引き起こす分子レベルでの構造的基盤を明らかにするために研究を行った。 本研究代表者はサブタイプ間の活性化速度の違いが、主に第一膜貫通領域(S1)の違いに因ることを明らかとし、S1に点変異を導入することで、全く電位依存性のない変異体をつくることに成功した。このことは、S1が電位センサーの可動部であるS4と相互作用をして電位センサーとして働いていることを示唆している。本研究では、S1とS4の両者に同時に点変異(システイン残基)を導入し、その影響を調べた。S1領域の139番目にシステイン残基を導入しS4領域の253番目にシステイン残基を導入すると最初は過分極に対し電流応答を示さなかった。しかしながら、還元剤であるDTTで処理すると電流応答が認められるようになった。このことから、S1とS4のシステイン残基同士がジスルフィド結合を作り、電流応答を示さなかったものが、DTTでジスルフィド結合が切断され、電流応答を示すようになったと考えられ、139番目と253番目のアミノ酸残基が物理的に近い位置にあることを示唆していると考えられた。今後、さらに多数の点変異を導入し、S1とS4との位置関係を明らかにし電位センサーの動きを明らかにする。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Mechanistic basis for the pathogenesis of long QT syndrome associated with a common splicing mutation in KCNQ1 gene2007
Author(s)
Keiko Tsuji, Masaharu Akao, Takahiro M. Ishii, Seiko Ohno, Takeru Makiyama, Kotoe Takenaka, Takahiro Doi, Yoshisumi Haruna, Hidetada Yoshida, Toshihiro Nakashima, Toru Kita, and Minoru Horie
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Journal Title
Journal of Molecular and Cellular Cardiolog 42
Pages: 662-669
Peer Reviewed
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