2008 Fiscal Year Annual Research Report
過分極で活性化される陽イオンチャネルの電位センサーとイオン透過性に関する研究
Project/Area Number |
19590208
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 孝広 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (40303812)
|
Keywords | 過分極 / イオンチャネル / Ih / HCN / 電位センサー / 多量体 / ゲート機構 / 点変異 |
Research Abstract |
過分極で活性化される陽イオンチャネル(HCNチャネル)は、心臓のペースメーカー細胞で1980年に初めて記述された。中枢神経系をはじめ生体の様々な場所に発現し、ペースメーカーチャネルとしての役割や細胞の興奮性の調節など生理学的に重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた。HCNチャネルは、電位依存性カリウムチャネル(Kvチャネル)と共通の6回膜貫通領域をもつが、Kvチャネルと異なり電位センサーとゲート機構とのカップリングの仕組みが異なり、比較的ルーズなカップリングを示す事が示唆されている。これは、HCNチャネルがcAMPによる調節を受けるために重要であると考えられている。この仕組みを分子的に実証するために研究を行った。 まずは、電位センサーが動かなくなる点変異を導入した変異体と野生型をつなぎ合わせた二量体を作製し、その電流応答を測定した。その結果、Kvチャネルでは四量体でつくられる機能的チャネルのうち四つ全てのサブユニットの電位センサーの動きが必要であるのに対し、HCNチャネルでは二つのサブユニットの電位センサーの動きでチャネルが開閉する事を明らかにした。さらに、四つのサブユニットをつなぎ合わせた四量体を作り、一つのサブユニットの電位センサーの動きでチャネルが開閉する事を明らかにした。これらの事から本研究において、Kvチャネルとは基本的に異なるカップリング機構を示す事を分子的に実証した。これらの成果は、チャネルの電位とゲート機構のカップリング機構の理解を深め、イオンチャネルの生理学的役割の解明につながるものと期待される。
|
Research Products
(2 results)