2007 Fiscal Year Annual Research Report
電気生理学的および光学的手法を用いた内向き整流カリウムチャネルの分子機構の解明
Project/Area Number |
19590209
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
柳 圭子 (石原 圭子) Saga University, 医学部, 准教授 (70265990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 信太郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (40336110)
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Keywords | カリウムチャネル / 内向き整流カリウム電流 |
Research Abstract |
(1)Kir2.1内向き整流カリウムチャネル機能の分子メカニズムを調べるために、Kir2.1チャネル孔内面に位置するアミノ酸残基に点変異を加えた変異体チャネルの機能を電気生理学的手法(パッチクランプ法)によって調べ、野生型チャネルの機能と比較する実験を行った。その結果、有機陽イオンであるポリアミンによるチャネルブロックには、高親和性ブロックと低親和性のブロックが認められるが、高親和性ブロックの際にはポリアミンの結合部位として細胞膜領域のチャネル孔内面に存在するアスパルギン酸残基(D172)の有する陰電荷が重要な働きを担い、細胞質内に突出したチャネル領域の孔内面に位置するグルタミン酸残の有する陰電荷(E224とE299)はブロックとアンブロックの反応速度を著しく促進する役割を持つことがわかった。一方、低親和性ブロックの際には細胞質内領域のグルタミン酸残の有する陰電荷(E224とE299)がポリアミンの結合部位を形成していると考えられる事が分った。また、チャネル細胞質側溶液のpH低下(プロトンの増加)によって誘発される極めて遅い時間依存性のゲーティング機構の分子メカニズムには、細胞質溶液に含まれる何らかのイオンによるブロックのメカニズムは関わっていないという実験結果を得た。さらに、我々が低親和性ブロックにおけるポリアミン結合部位であると考えている細胞質内領域の陰電荷はこれに関与していないが、高親和性ブロックの際のポリアミン結合部位であると考えていうる細胞膜領域の陰電荷が深く関わっている事を示唆する結果を得た。 (2)蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を用いた内向き整流カリウムチャネル分子の機能と動的構造変化の関係については、実験機器のセットアップを行い、予備実験を開始した。
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