2009 Fiscal Year Annual Research Report
ABCトランスポータにおけるNBDエンジンの動作メカニズムの解明
Project/Area Number |
19590215
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
相馬 義郎 Keio University, 医学部, 准教授 (60268183)
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Keywords | ABCトランスポータ / CFTR / チャネル / Nucleotide Bindin Domain / ATP加水分解 / ゲーティング / アニオン / 二量体化 |
Research Abstract |
本年度は、まず、ゲーティング解析よりMgPPiによって駆動されているCFTRチャネルは、等濃度のMgATPによってATP加水分解を伴いながら作動している場合に比べて、開口過程おいては1/100、閉口過程においては1/3の遷移速度で作動していることが明らかになった。次に、このMgPPi駆動ゲーティングには、ふたつのNBD間の水素結合R555-T1246が重要な働きをしていることが予想されたので、R555K変異を導入した水素結合欠落変異体を作成して、その性質を調べた。R555K変異体は、MgATPによってでも非常に低い開口速度しか示さず、残念ながらゲーティング解析は不可能であった。しかしながらATP加水分解能欠落との二重変異体R555K/T1246では、ゲーティングを観察することができ、NBD間水素結合の欠落によって開口速度の減少および閉口速度の増加が認められた。このことはNBD間水素結合は、NBD二量体の形成および安定化の両方に重要な役割を果たしていることを示唆している。さらに、ATPは結合できるがNBDの二量体化ができないためにATP依存性開口ができないG551D変異体に、ATP依存性ゲーティングを復活させる薬剤であるgenisteinおよびcurcuminの作用機序はNBDエンジンの動作機構についての重要な情報を含んでいると考えらたので、これらの薬剤についての実験を行った。その結果、驚くべきことに、ATP加水分解能欠落によって開口固定されているE1371S変異体は、genisteinおよびcurcuminの同時投与によって閉口された。このことは、ABCトランスポータ共通のNBDエンジンの活性制御薬開発に直結した非常に重要な知見である。
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