2008 Fiscal Year Annual Research Report
組織修復・再生過程におけるt-PA/t-PAR系を介した蛋白分解活性制御の解析
Project/Area Number |
19590217
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松尾 理 Kinki University, 医学部, 教授 (40030879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上嶋 繁 近畿大学, 農学部, 教授 (30193791)
岡田 清孝 近畿大学, 医学部, 講師 (20185432)
河尾 直之 近畿大学, 医学部, 助教 (70388510)
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Keywords | 組織再生 / t-PA / t-PA受容体 / 線溶系 / 蛋白分解 |
Research Abstract |
組織障害後の修復・再生過程においてその周囲での蛋白分解の制御に関与する線溶系の酵素tissue-type plasminogen activator (t-PA)とその受容体(t-PAR)について検討している。本研究は、皮膚組織損傷後の再生過程へのt-PA/t-PAR系発現細胞の応用を温度感受性ポリマー上で行うことを目的としている。 平成20年度は、昨年度作成したPA inhibitor 1 (PAI-1)の遺伝子欠損およびその野生型マウスの皮膚組織由来線維芽細胞にt-PAR発現させた細胞を用いて、温度感受性ポリマー上での細胞機能について検討した。 1. 細胞の温度感受性ポリマーに対する接着・解離 t-PAR発現線維芽細胞は、ポリマー固相化シート上に37℃で接着し、その後25℃でシート状に剥離した。細胞の接着能は、通常のプレート上と同等であった。 2. 細胞の温度感受性ポリマー上での機能 (1) 増殖能:t-PAR発現細胞と非発現細胞の増殖能は、通常のプレート上と同等であった。 (2) 蛋白分解活性:t-PAR発現細胞のt-PA依存性Plg活性化能は、非発現細胞に比べ有意に増加していた。また,PAI-1KOマウス由来細胞の活性化能は、PAI-1WT由来細胞より高かった。それらの効果は、ポリマープレートと通常プレート上でほぼ同等であった。 (3) ポリマー上培養から剥離した細胞:細胞の各機能は、通常プレート上細胞と同等であった。 3. マウス皮膚創傷治癒モデル t-PA遺伝子欠損マウスとその野生型マウスの皮膚創傷治癒モデルを用いて、温度感受性ポリマーシート上に接着させたt-PAR発現線維芽細胞の治癒効果を検討した。現在、データの解析中である。 以上の結果より、蛋白分解を制御した細胞の温度感受性ポリマーシートを利用した新たな細胞方法は、組織再生に対する臨床応用として期待できる。
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Research Products
(7 results)