2007 Fiscal Year Annual Research Report
容積感受性クロライドチャネル活性化の分子レベルでの解析
Project/Area Number |
19590219
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
高橋 信之 National Institute for Physiological Sciences, 細胞器官研究系, 助教 (50370135)
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Keywords | 細胞容積制御 / クロライドチャネル / 活性制御機構 / ASK1 / KCNE1 / アポトーシス |
Research Abstract |
容積感受性CIチャネル(VSOR)は、細胞の生存・増殖等に必須な細胞容積制御機構に関与する極めて重要なイオンチャネルであるが、その活性化機構はもとより、分子実体も同定されていない。しかし近年、電位依存性KチャネルKCNQのβサブユニットであるKCNE1を初めとして、複数のタンパク質・シグナル伝達系がVSOR活性化機構を制御するものとして同定されている。そこで本申請課題では、VSOR活性化の分子メカニズムを明らかにするために、RNAiによる遺伝子ノックダウン技術やプロテオーム解析技術を用いて、KCNE1など既知のVSOR活性化調節タンパク質の解析を行うとともに、新たに「調節性容積制御機構に関与する新規タンパク質・シグナル伝達系の同定」を試みた。 既に報告されているVSOR活性化調節タンパク質であるKCNE1に関して、siRNAによるノックダウン実験を行い、このときVSOR活性化が関与するRVDがどのように変化するかをHeLa細胞を用いて検討した。しかし、KCNE1のノックダウンではRVDに変化はなく、またHeLa細胞でのKCNE1の発現レベルが極めて低かったため、HeLa細胞においてVSOR活性化はKCNE1で制御を受けていない可能性が考えられた。今後は、詳細な電気生理学的検討が必要と考えられる。 VSOR活性化に関与する新規タンパク質の同定の試みについては、様々なアポトーシス刺激や活性酸素種(ROS)によりVSORが活性化されることから、そうした刺激により活性化されるアポトーシスシグナルキナーゼ(ASK1)に着目し、そのVSOR活性化への関与を検討した。HeLa細胞にアポトーシス刺激であるTNFαとシクロスポリンを共添加すると、VSOR活性化によりアポトーシス性細胞容積減少(AVD)が観察されるが、ASK1ノックアウトマウス由来繊維芽細胞では、AVDが有意に抑制されることが明らかになった。今後は、ASK1に対するsiRNAを導入したノックダウンHeLa細胞を用いた検討および電気生理学的な検討が必要と考えられる。
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