2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳内の心房性ナトリウム利尿ペプチドによる発熱抑制機序に関する研究
Project/Area Number |
19590225
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
渡邊 達生 Tottori University, 医学部, 教授 (60182929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井元 敏明 鳥取大学, 医学部, 准教授 (10109639)
三好 美智夫 鳥取大学, 医学部, 助教 (20093627)
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Keywords | ANP / LPS / 発熱 / 脳 / 視束前野 / 前部視床下部 / 光顕免疫染色法 / サイトカイン / PGE_2 |
Research Abstract |
最近私たちは、脳内の心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide; ANP)が細菌性内毒素(lipopolysaccharide; LPS)の静脈内投与による発熱を抑制している事実を発見した。しかし、脳内のANPはサイトカイン非依存性に起こる脳内のPGE_2(発熱の最終mediator)の産生を抑制している可能性が想定されている。本研究では、ANPやANP受容体が脳内の"どこ"で"どの様"に発熱抑制に働くのかについてin vivoの実験系を用いて詳細に検討する。平成19年度は、脳局所カニュレーションを介して、ANPあるいはANP受容体拮抗薬をラット脳内各所に投与した。これにより、ANPがLPS静脈内投与による発熱を抑制する脳部位を検討した。その結果、ANP受容体拮抗薬の視束前野/前部視床下部内投与によりLPSの静脈内投与による発熱が亢進した。一方、ANPの同部位への局所投与ではLPS発熱が抑制された。したがって、内因性のANPは体温調節中枢である視束前野/前部視床下部に作用して発熱をコントロールしているものと推察される。この結果を基に、今後、ANP及びANP受容体の平常時あるいはLPS発熱時の脳内分布を光顕免疫染色法により観察する予定である。もし、発熱時にANP及びANP受容体が視束前野/前部視床下部で発現することが確認されれば、実際に発熱時に分泌されているANPが同部位のANP受容体に結合して発熱を抑制する強力な証拠となる。さらに、脳のANPによる発熱抑制に、サイトカイン非依存性PGE_2産生の抑制が関与している可能性について検討を進めていきたい。
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