2008 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳卒中における血中遊離脂肪酸および20-HETEの関与
Project/Area Number |
19590244
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹内 和彦 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 助教 (00419425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 裕司 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50262803)
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Keywords | 血管内皮 / 内皮依存性血管拡張因子 / NO / プロスタグランジンI2 / カルシウム / 遊離脂肪酸 |
Research Abstract |
血中遊離脂肪酸と虚血性脳心血管イベントとの関連が報告されているがそのメカニズムは明らかではない。平成20年度は、初代培養ブタ大動脈血管内皮細胞を対象として、fura-2/AMによる細胞内カルシウム濃度測定、6ケト-プロスタグランジンF_<1α>免疫酵素測定法によるプロスタグランジンI2産生測定、DAF-FM/DAによるNO測定により、ヒト血中に存在する主要遊離脂肪酸の血管内皮機能に及ぼす影響を検討した。【結果】(1)ω6多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸(0.1-10μM)とリノール酸(0.1-10μM)は、血管内皮細胞におけるブラジキニン誘発性カルシウム応答を濃度依存的に抑制した。(2)アラキドン酸とリノール酸は、血管内皮細胞におけるブラジキニン誘発性のプロスタグランジンI2及びNO産生を濃度依存的に抑制した。(3)飽和脂肪酸であるステアリン酸(10μM)およびパルミチン酸(10μM)、1価不飽和脂肪酸であるオレイン酸は、血管内皮細胞におけるブラジキニン誘発性のカルシウム応答、プロスタグランジンI2産生、NO産生に影響しなかった。(4)20-HETEは、その合成酵素であるCYP4Aを介してアラキドン酸、リノール酸から生成され、血管拡張を抑制することが報告されている。本研究において、これらω6多価不飽和脂肪酸による血管内皮機能抑制が20-HETEを介したものであるかを20-HETE合成酵素阻害剤を用いて検討したが、有意な結果は得られなかった。 以上の結果より、主要ヒト血中遊離脂肪酸においてω6多価不飽和脂肪酸のみが血管内皮細胞内カルシウム応答を抑制し内皮依存生血管拡張因子の産生を低下させることが示唆された。遊離脂肪酸による血管障害機構が明らかになることにより新たな脳心血管イベントの予防ターゲットを見出すことが可能となることが期待される。
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